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小林芳規著作集 第五巻  新刊

文字・表記・音韻

小林芳規著作集 第五巻

◎訓点資料・角筆文献を駆使して歴史的変遷を捉え直すーー新発見資料群による新たなる視点の導入

著者 小林 芳規
ジャンル 国語学(言語学)
国語学(言語学) > 総記・論集
シリーズ 小林芳規著作集
出版年月日 2024/02/26
ISBN 9784762936647
判型・ページ数 A5・616ページ
定価 19,800円(本体18,000円+税)
在庫 在庫あり
 

目次

凡例

國語學の五十年 文字・表記(史的硏究)
   はじめに
   時期別の鳥瞰
   訓點資料による片假名・諸符號の硏究
     ヲコト點の硏究
     片假名の硏究
     諸符號(ヲコト點以外)の硏究

表記の展開と文體の創造
   漢字のさまざまな用法
   太安萬侶の新しい文體の創造
   金石文における表記の展開
   命過幡銘・戸籍と漢字の定訓
   古代木簡における日本語文の表記
   『古事記』文體の文章史上の意義

表記法の變遷
   變遷の原理
   未分化から分化へ――名稱と符號の成立
     名稱の成立に現れた分化
     句讀點における分化
      合符の分化
      返點における雁點の成立
      假名における「ン」「ツ」の分化
   書記の勞力の輕減
   形態の淘汰と簡易化
      記號の返點の淘汰
      省畫體の淘汰
      假名字體の簡易化と統一
      片假名字形の變容
      假名字體の簡易化の原理
   終りに

日本文字史硏究の現狀と展望
   はじめに――日本語史硏究における、新分野開拓の動機となった三つの型
   二十世紀後半五十年間の硏究動向の槪觀
   漢字・片假名・平假名の硏究の足跡についての具體的な考察
     漢字の硏究
     片假名の硏究
     平假名の硏究
     表記に伴う符號の硏究
   角筆文獻の發見とその硏究

女手のもう一つの世界――角筆文獻における女手使用――
   平安時代の女手とその資料
   女手の新資料
   角筆と角筆文獻
   女手使用の角筆文獻
   角筆の訓點に女手を使用する意味

平假名の成立と「をんなで」

平安時代の平假名文の表記様式〔Ⅰ〕――語の漢字表記を主として――
   はしがき
   土左日記貫之自筆本の漢字の檢討
   承平頃の平假名文に存する漢字
   平安後半期の平假名文中に見る、字音語の漢字表記

平安時代の平假名文の表記様式〔Ⅱ〕――語の漢字表記を主として――
   實用としての平假名文表記の一面とその特質
   平假名文中の和語の漢字表記
   〔附〕平安時代の平假名表記の種々相
   結語

大東急記念文庫所蔵 大方廣佛華嚴經巻三十四の草假名

文字の交流—―片假名の起源—―
   はしがき
   片假名の起源についての從來の説
   奈良時代(八世紀)における省畫體假名の資料
   奈良時代の角筆加點
   八世紀の新羅語による角筆加點
   八世紀の新羅語による角筆加點と日本の初期訓點との關係

訓點における片假名の始源とひらかなの使用場面
   奈良時代の古文書に使われた「片假名」
   片假名の起源についての從來の説
   新羅經に角筆で書き入れた「 」
   日本の奈良寫經に角筆で書き入れた「 」
   日本語の訓點表記に用いた白點・朱點の始まり
   平安初期の訓點の假名字體
   東大寺における華嚴經の初講讀とその續行
   訓點における「ひらかな」の使用場面

かなの用法
   まえがき
   幻の”純假名文”
     平假名文
     片假名文
   假名と漢字との交渉――送り假名の習慣
     無活用語
     活用語
   平假名と片假名との交渉――字母および交流の問題
     字母から見た平安初期訓點資料の假名
     『宇多天皇宸翰周易抄』の、訓注用字體と傍訓用字體
     『大乘本生心地觀經院政後期點』の平假名と片假名
   假名遣の諸問題
     片假名における「ヲ」と「オ」との假名遣
     定家假名遣の規範

高山寺本古往來における漢字の用法上の性格――振假名の有無を手懸りとする考察――
   高山寺本古往來の施訓の狀態
   振假名の有る漢字と無い漢字との別
   A類の漢字の性格
   B類の漢字について
   結語

將門記における漢字の用法――和化漢文とその訓讀との相關の問題――
   はしがき
   訓注について
   類義字の訓み分け
   傍訓を通して觀た漢字の用法
   將門記の漢字用法の性格

將門記承德點本の假名遣をめぐって
   はしがき
   ヲとオとの假名遣について
   承德本の書寫者・加點者の教學環境について
   承德本の訓讀法について
   眞言宗關係者とヲオの假名遣

訓點における拗音表記の沿革
   はしがき
   拗音表記についての春日博士説の要旨と補説
   佛家點における拗音表記の推移
   漢籍(博士家點)における拗音表記の推移
   結び

漢書楊雄傳天曆二年點における一音節字音の長音化について
   はしがき
   一音節字音の長音化と各種點
     合拗音における差異
     開拗音における差異
   白點における、一音節字音の長音化の分析
     イ段音の場合
     オ段音の場合
     ウ段音の場合
     ア段音の場合
   一音節字音の長音化の原因

院政・鎌倉時代における字音の連濁について
   意義・資料について
   連濁についての、中世の記事
   新濁の符號による諸例について
   訓點資料の、訓讀された文章における連濁
   和化漢文・片假名交り文の連濁
   結語

三寶繪の妙達和尚――國語音韻史からの一話題
   妙達と明達
   中世語資料におけるオ段長音の開合の亂れ
   「妙達和尚」は「明達律師」か

心經――發心集增補部の撰者についての國語史よりの提言

見せ消ち符號について――訓點資料を主として――
   はじめに
   見せ消ち符號の種々相
   訓點の見せ消ち符號
   見せ消ち符號の時代差
   「再生」の方法
   「見せケチ」の語について

梁塵祕抄の本文と用語
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     語彙

梁塵祕抄誤寫類型一覧

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内容説明

【凡例より】(抜粋)
 本册第五巻は、「文字・表記・音韻」と題して、文字と表記のそれぞれについてやや廣く扱った論考四篇を先に配し、次いで女手(平假名)・片假名・漢字の用法についてそれぞれ考察した論考を掲げ、更に音韻のうち特に漢字音について表記の面より考察した論考と、音韻の上から説話文學の登場人物および撰者について考證した二篇を續け、終りに見せ消ち符號と古典作品における誤寫の處理方法を試みた二篇を加えた。

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