
内容説明
【「丁志下」あとがきより】(抜粋)
『宋史』の洪邁伝には、冒頭その名を記した後に「幼讀書日數千言、一過目輒不忘。博極載籍、雖稗官虞初、釋老傍行、靡不涉獵(幼少期から日々多くの書物を読み、一度見たら忘れなかった。対象とする書籍は極めて幅広く、小説や仏・道など傍流のものであっても読みあさった)」とある。早熟で博識な人物への評語としてしばしば記される文言ではあるが、その『夷堅甲志』より『丁志』まで八十巻の訳注を終えた今では、きっとそうであったのだろうと納得させられる。世上の珍しい出来事を広く集めて編纂した背景には、深い探究心と知識欲が働いていたことが窺える。
我々の訳注作業は齋藤が福田、安田、田渕、山口の四君に声をかけて、二〇一一年六月に始められた。一三年春に齋藤が退官した後は、四君が定期的に集まって下稿を作り、齋藤が訳語の調整、誤記の有無の確認をした後、定稿とした。甲志上冊が一四年七月に刊行され、そこから十二年弱で八冊の刊行を終えることができたのは、四君の頑張りと汲古書院のご助力のお蔭である。軽い読み物に本文の校訂を加え、さらに些か細かい注を附したのは、見当違いの謗りを受けるかもしれないが、収録された説話には宋代の士大夫の生活、市井の人々の息づかいが籠もっているので、単なる読み物に終わらせるのではなく、当時の社会の有様を知る上での手がかりにしたいと考えたためである。この訳注を踏み台として今後更なる研究が進められることを期待している。
【本書の特色】 ◎『夷堅志』収録説話を提供した語り手について、分類ごとに整理し、特徴ある人物を概観した「『夷堅志』の説話提供者について」(福田知可志)を解説として付した。
◎『夷堅志』全八巻の総索引
人 物:各話に登場する宋代の人物・話の提供者。
地 名:各話に見える行政区画・山川・寺院・橋梁などの建築物。
分 類:各話の内容を把握する項目、神仙・女仙・道術・方士・卜筮・医・夢・神・鬼ほか 108項目











