
目次
第一部:響きゆくことば 唐宋から元明
道を師とする――韓愈の「師說」に見る古文家の精神―― 畑﨑みさき
夜叉の受容と變容および定着について
――『太平廣記』における夜叉の描寫を中心に―― 西尾和子
葉適による永嘉四靈推賞說について 白﨑 藍
宋元時代の唱賺と套數に共通する音樂的特徵 土肥克己
明代詞選集『花草稡編』と通俗文學作品 藤田優子
雜劇「楚昭王疎者下船」改變の過程
――伍子胥の『全相平話』からのアプローチ―― 田村彩子
第二部:白話小說の世界へ 明淸
諸葛孔明に託された理想的爲政者像――南征故事を中心に―― 井口千雪
白話小說の語り手介入文について
――『水滸傳』における「說話的」「看官」を中心に―― 大賀晶子
『警世通言』卷二十考――その位置づけと發展段階をめぐって―― 上原德子
『說唐全傳』不在の英雄――明淸期における王君可の認知狀況―― 永井もゆ
『紅樓夢』甲辰本と先行抄本の繼承關係
――共通部分の異同分析を手がかりに―― 李沫
『封神演義』の廣百宋齋鉛印本と徐潤 尾崎 勤
第三部:海を越えて 日本近世
澤田一齋と白話硏究――架藏和刻本『忠義水滸傳』より―― 宮本陽佳
日本近世期における『西遊記』翻譯の一考察
――『通俗西遊記』後編と『畫本西遊全傳』初編を比べて―― 中村 綾
江戶期「三國志」版本插繪における霧と風の表現 廣澤裕介
馬琴「水滸三等觀」の形成と『傾城水滸傳』 孫 琳 淨
『六十家小說』の刋行について 小松 謙
あとがき 小松 謙
執筆者紹介/英文目次
内容説明
【まえがき より】(抜粋)
本論集は、小松謙先生が二〇二五年三月をもって京都府立大學を退職されるのを機に、先生の數多い受業生のうち、その學び舍に他の人よりいささか長く席を置くことになってしまった者たち、奇緣に導かれて身を寄せた者たちが集まって作ったものである。京都の繁華街から離れた下鴨の一角で學んだ我々にとって、北大路橋から眺める賀茂川の流れや比叡の豐かな山なみ、先生の聲が響く敎室が學びの原點であり、本書の「響き」の原點でもある。
先生のご硏究の代表的なものとしては元雜劇などの戲曲や所謂「四大奇書」を始めとする白話小說の成立・出版、それらと密接的な關係にある近代的讀書の問題などを擧げることができる。さらに、先生はその歷史的背景、白話文學の日本への傳播などにも廣く通じておられ、中國古典詩文はもちろんのこと、學部生・院生の論文指導でも幅廣くカバーされていた。受業生の興味もおのずと多方面に及び、それが本論集に收めた各論考の多彩なテーマへとつながっている。
そこで本論集は全體を時代と地域、および主な分析對





















