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和刻本漢籍随筆集 第一集(普及版)五雜組

和刻本漢籍随筆集 第一集(普及版)五雜組
著者 長澤規矩也
ジャンル 総記・書誌 > シリーズ
シリーズ 和刻本 > 和刻本漢籍随筆集
出版年月日 2010/07/15
ISBN 9784762929007
判型・ページ数 B5・364ページ
定価 本体4,000円+税
在庫 在庫あり
 

内容説明

五雜組 一六巻 明謝肇淛 寛文元年(1661)覆明刊本 大一六冊

 

明人撰著の随筆中、邦人に最もよく知られたもの。しかし、本國に於ては、明朝の忌諱に觸れた人として、傳本が少く、四庫にも未収、明刊本は却って本邦に流傳する。明刊本に兩版があり、和刻本はその一版の覆

刻である。巻一・二は天部、三・四は地部、五至八は人部、九至十二は物部、十三至十六は事部に分かれ、各部中の各項には題名はない。中で、巻十二に紙墨、十三に印刷蔵書に關する諸項があることは人のよく知る所である。覆刻本と稱する場合、句讀訓點を加えてあってもよろしい。本書の場合、本文に原本には界線があるが、覆刻本には除かれている。これは、福井保氏の言う如く、送仮名を加えるために界線を除いたもの。有界・無界の差はあっても字様がよく似ていれば、やはり覆刻というべきである。本書についていえば、明刊本と覆刻本とは、字様甚しく類似する。蓋し、覆刻本の上乘のものというべきであろう。・・・初印本と後印本との間には本の大小の差があることが多いが、上述の如く大本必ずしも初印本ではない。初印本にあった、利瑪竇が廣東に来て、儒教と相發明する天主教を弘めた項(巻四、第四十二丁)と、わが國で儒書を重んじ、佛法を信ずるが、孟子を舶載しようとすると船が沈没するという項(巻四、第五十二丁)とが後に削られている。このことは、早く、松澤老泉の經籍答問(國書刊行會本「解題叢書」五三九頁)に載せられ、識者のよく知っているところであるが、その理由は明記されていない。想うに、前者は江戸時代に國禁であったキリスト教が、徳川幕府が重んずる儒教と相發明し、佛老の一切の虚無苦空の説を詆ったとあることが國是と反するというわけであろう。後者は事實には反するが、孟子の内容の民本主義的なところがわが國體には容れぬところがあることとともに、孟子が經書の中に列せられていなかった唐の學制に倣った奈良・平安の學制を受け繼いだわが學界で、孟子が論語・孝經の如くには普及していず、古寫本もはるかに少かったことは確である。それよりも、或は、「倭奴」という表現を憚ったものかもしれない。とにかく、江戸時代では、漢學・國學の別なく、學者が多く本書を引用して説を成しているほど本書は普及していたが、多く書名中の「組」を「俎」と誤っている。このことは本國人の著にも往々ある。この誤はすべて原書を詳しく見なかったからで、蔵書目録にまで及んでいるが、「俎」に作った原書は一部もない。全く陳々相因る誤謬に過ぎない。なお江戸時代に於ける本書の普及は、國人による注釋書を出現させたが、いずれも出版はされなかった。著者の謝氏は、字を在杭とよび、福建長樂の人。萬暦三十年(一六〇二)の進士。官は工部郎中を經て、廣西右布政使に終った。著書には、本書の外、文海披沙・塵餘(何れも本随筆集中に収める)・史觿・滇略・北河紀略・西呉枝乘・長溪琑語・方廣巖志・紅雲續約・小草齋文集・小草齋詩話(中國蔵書家攷略にはこの外に及ぶ)などがある。蔵書も多く、その散じたときに?舶によって我に齎されたらしく、本邦には舊蔵書も多く傳わり、書陵部・内閣文庫の蔵書中に散見する。謝氏の傳は、明史文苑傳二(巻二八六)の鄭善夫の傳に附載されているが、工部郎中に在職して作った北河紀略には、黄河及びその治水作業の歴史を具載しているという外、上記以外の内容は全くない。

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