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隋唐の詔勅  新刊

隋唐の詔勅

◎隋唐王言七種の「文書式」を復元し、日唐詔勅式の相違とその要因を考究!

著者 中村 裕一
ジャンル 東洋史(アジア)
東洋史(アジア) > 魏晋隋唐
日本史
日本史 > 古代
出版年月日 2023/06/15
ISBN 9784762967238
判型・ページ数 A5・852ページ
定価 22,000円(本体20,000円+税)
在庫 在庫あり
 

目次

序 説 隋唐詔勅研究の意義と回顧
第一章 冊 書     
冊書
唐代の冊書
唐代の冊授
第二章 詔書(制書)
二種類の詔書(制書)とその成立時期
詔と制
貞観令「詔書式」
開元二十五年令「制書式」の復元
隋唐の令書と令書式
唐代詔書の淵源
隋代の詔書
隋代の詔授と奏授
隋代の詔書式
赦書と徳音
誥書(太上皇の王言)
第三章 慰労詔書(慰労制書)
慰労詔書研究の意味
日本の慰労詔書
隋代の慰労詔書
唐代の慰労詔書
慰労詔書式の復元
南北朝の慰労詔書
漢代の「皇帝問某」
敵国文書(対等文書・「致書」文書)
第四章 発日勅
従来の研究
発日勅
発日勅式
隋代の発日勅
勅授告身式
武徳令の発日勅
勅符
第五章 勅 旨
勅旨は中書門下(宰相府)が決裁した王言
「勅旨」の語がある史料/不完全な勅旨文書
奏請状と「勅旨。宜依」の関係
中書門下の奏請と決裁
文書式を具備する勅旨二種
隋代の勅旨
勅旨式
隋唐の令旨と令旨式
詔と勅の伝達
第六章 論事勅書
従来の研究
隋と唐初の論事勅書
唐代の論事勅書の発信事例
敦煌発見の真本「論事勅書」
論事勅書の発日
宸筆の論事勅書
論事勅書の文書式
論事勅書と慰労詔書の伝達
第七章 勅 牒
勅牒は中書門下(宰相府)が発する王言
勅牒
奏請の回答に「奉勅、云云」とある記事
原形を残す最古の勅牒
勅牒の諸形態
奏請状と中書門下牒の関係
「論舜廟状」と「論舜廟状」を決裁した勅牒
勅牒式
第八章 「王言之制」以外の詔
「王言之制」以外の詔とは
手詔(手制)
墨詔(墨制)
優詔(優制)
詔旨と聖旨
進止と恩命
口詔
制曰可・制可・詔可・奏可
第九章 「王言之勅」以外の勅
「王言之勅」以外の勅とは
手勅
墨勅
口勅
 第十章 「詔勅」以外の王言
「詔勅」以外の王言とは
御札
璽書
璽詔
宣と口宣
あとがき
勅旨と勅牒の解釈
叙任における詔授と奏授の開始時期
小事の詔書式の起源
隋唐の詔書式と、それに連動する隋代の王言文書の復元
論事勅書式の一部訂正
監国時の皇帝の詔書と勅旨に替わる皇太子の令書と令旨
詔と制の混用
隋唐の王言
唐の詔勅は隋の大業公式令の詔勅を継承
   
図版目次
口絵 唐・景雲二年(七一一)七月九日の有印真本「論事勅書」… 敦煌文献・斯一一二八七
図版1「サッサン朝ペルシア・ホスローⅡ世銀貨」………… 伝新疆省吐魯番出土
図版2「五代・後晋朝の敵国文書草稿」…………………… 敦煌文献・斯四四七六―三 
図版3「開元十二年(七二四)の石刻論事勅書」…………… 拓本  

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内容説明

 本書において、隋唐の詔書式(大事と小事の詔書式)・慰労詔書式・発日勅式・勅旨式・論事勅書式・勅牒式・皇太子の隷書と令旨式を復元する。これらは、南北朝に起源があり、より直接的には隋の文帝の開皇公式令(582年施行)と、それを継受した煬帝の大業公式令(608年施行)を基本としたものである。また従来、勅旨と勅牒は小事の国政に関する皇帝の王言と理解されてきたが、本書では勅旨と勅牒は中書門下(宰相府)が皇帝に成り替わって、皇帝の御名において発した宰相府文書とする。「状」様式文書によって、小事の国政に関して皇帝に上呈された案件は、国政に精通した中書門下が、皇帝の御名において決裁したものであることが、勅旨式や勅牒式の文書の形状から理解できる。日唐の詔書式の相違、発日勅が日本令になかったことにも言及し、古代日本の詔勅が隋唐の文書式の単純な模倣ではなかったことを強調する。
 本書は、『唐代制勅研究』(1991年・汲古書院刊)の増補・訂正版とも言うべく、隋唐詔勅の全容を知る唯一の書である。

【序説より】(抜粋)
 本書は隋唐の王言を攻究し、隋唐の国家意思の決定方法を解明しようと企図する。王言は公式令に 文書式が規定されていたが、公式令は現在は散逸し、王言の定立過程等の詳細は不明となっている。従って、隋唐王朝の国家意思の決定方法を明らかにしようとするならば、王言の種類を確定し、各王言の定立過程の具体的検討から開始しなければならない。隋唐文献は官撰史書が中心であり、文書として残存するのは稀有に属する。官撰史書は王言を多引しているから、官撰史書を精査すれば、隋唐の王言研究は展望が開けるであろう。……本書は中国史における「皇帝」権能の性格解明という課題に、直接的に関わるものではないが、この問題解決のために、隋唐皇帝機能の一斑を、詔勅の分析を通して明らかにしたいと考える。……日本は隋唐律令を母法として王朝国家を創建した。日唐律令の継承関係は可能な限り解明されてはいるが、王朝国家の基本的性格に関する日唐の比較研究は立ち遅れた段階にある。それは隋唐令が散逸していることによる。隋唐の詔勅や公文書式を明らかにすることによって、日本の公式令との比較が可能となり、日本と隋唐の国家意識の比較研究が可能となる。



STUDIES OF ZHÀO(詔) AND CHÌ(勅) IN THE SUI(隋) AND THE TANG(唐) DYNASTIES

 

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