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馬琴研究

――読本の生成と周縁――

馬琴研究

◎馬琴読本の重層的・輻輳的な方法の特徴を明らかにし、馬琴研究に新境地を拓く!

著者 三宅 宏幸
ジャンル 日本古典(文学) > 近世文学
日本古典(文学) > 近世文学 > 小説
出版年月日 2022/02/17
ISBN 9784762936708
判型・ページ数 A5・536ページ
定価 13,200円(本体12,000円+税)
在庫 在庫あり
 

目次

凡例
序 章


第一部 馬琴読本の典拠

  第一章 『椿説弓張月』典拠小考
  第二章 『近世説美少年録』『新局玉石童子訓』と『肉蒲団』
  第三章 『殺生石後日怪談』の生成
          ――『封神演義』『通俗武王軍談』の構想を軸に――
  第四章 『開巻驚奇俠客伝』と『封神演義』『通俗武王軍談』

第二部 馬琴読本の図像と形象

  第一章 『椿説弓張月』と聖徳太子伝承――琉球争乱を中心に――
  第二章 犬江親兵衛の初陣――『南総里見八犬伝』と聖徳太子伝承――
  第三章 『占夢南柯後記』における挿絵・口絵の趣向
  第四章 一英斎芳艶「文治三年奥州高館合戦自衣川白竜昇天」図論
          ――「八犬伝」との連関――

第三部 馬琴の考証・批評と読本

  第一章 馬琴読本と考証――『朝夷巡島記全伝』論――
  第二章 馬琴の白話小説批評『半閑窓談』から読本『開巻驚奇俠客伝』へ
  第三章 「三国志演義」の評注・考証と馬琴読本
          ――『俠客伝』を中心に――

第四部 馬琴の交流とその周辺

  第一章 『自撰自集雑稿』諸本小考――「馬琴自筆本」への疑問――
  第二章 『自撰自集雑稿』及び詠草・短冊・画賛
  第三章 曲亭馬琴と木村黙老の関係――書籍貸借と知の交流――
  附録 〈翻刻〉宮内庁書陵部図書寮文庫蔵「讃藩黙老木村氏蔵書目録」
  第四章 木村黙老の蔵書目録攷
        ――多和文庫蔵『高松家老臣木村亘所蔵書籍目録残欠』の位置づけ――
  附録一 〈翻刻〉多和文庫蔵『高松家老臣木村亘所蔵書籍目録残欠』
  附録二 〈翻刻〉鎌田共済会郷土博物館蔵木村黙老宛書翰三通

終 章

初出一覧
主要引用文献一覧
あとがき
図版一覧
索引(人名・書名)

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内容説明

【序章より】(抜粋)

 本書は、近世後期に絶大な人気を博し、近世だけでなく明治の文学へも大きな影響を与えた曲亭馬琴(明和4年〔1767〕-嘉永元年〔1848〕)の読本を中心に、主に典拠論の立場から比較、検証、分析を行うことでその生成過程を解明し、馬琴著作の方法について一つの見地を提示することを目的とする。(中略)
 様々な資料を利用して描かれる読本というジャンルにおいて、馬琴はどのような資料を用いて作品を著したのか。中国小説に加え、日本神話や説話、伝承、既存の演劇、小説の類を踏まえながら、どのような方法で作品を編み出したのか。本書の関心はそこにある。加えて、直接的な引用だけでなく、作品の趣向や特徴から読者が人物や伝承、小説を想起できるという広い意味での〈引用〉も、作品の読解において否定できない営為である。よって、従来の研究で指摘された資料の再検討や、未だ指摘されていない文献との比較、馬琴読本の挿絵や口絵といった図像が持つ機能の検証、等閑視されてきた中国小説の評注・考証・批評などを分析することで、馬琴読本の世界が垣間見えるのではないか。そこで本書にはできるだけ多くの図版を掲載し、馬琴読本の世界を視覚的に表すことを心がけた。さらに周辺人物との交流を踏まえ、馬琴研究の新たな視座を提示することを目指した。
 如上の馬琴の典拠研究を通して、馬琴読本だけでなく馬琴という作者の実像についてもその一側面を明らかにし、その豊穣な世界と魅力を伝えていきたい。

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