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朱熹『小学』研究

朱熹『小学』研究

◎現行本『小学』は朱熹の編纂書である――朱熹の編纂意図に迫る論考!

著者 松野 敏之
ジャンル 中国思想・哲学
中国思想・哲学 > 宋元
中国思想・哲学 > 明清
出版年月日 2021/09/22
ISBN 9784762966941
判型・ページ数 A5・346ページ
定価 9,900円(本体9,000円+税)
在庫 在庫あり
 

目次

引用資料凡例

序 章

第一章 朱熹小学書と劉清之小学書
  資料一 劉清之年譜(一一三三~一一八九) 
  資料二 『小学』『戒子通録』共通章

第二章 『小学』編纂
 第一節 『小学』内篇――原典からの修訂     
  資料三 『小学』内篇修訂一覧
 第二節 宋代訓蒙書と『小学』の構成       
  資料四 『小学』構成表(一覧) 
  資料五 『小学』構成表(章数)
  資料六 『小学』嘉言篇・善行篇と推定朱熹参照書籍一覧

第三章 『小学』における『孝』
 第一節 明倫篇「父子之親」           
  資料七 『小学』における孝の話題
 第二節 孝と諫め        
 第三節 朱寿昌譚

第四章 孝行譚の選択
 第一節 累世同居・廬墓・孝感  
 第二節 割 股

第五章 敬身篇の編纂

第六章 元明清時代の『小学』

終 章 朱熹と小学教育
        
参考文献
あとがき
索 引

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内容説明

【序章より】(抜粋)

近世の東アジアに大きな影響を与えた朱熹(一一三〇~一二〇〇)は、学問を「小学」「大学」に区分した。八歳から学ぶ「小学」と、十五歳から学ぶ「大学」である。朱熹の学問は、後世「朱子学」と呼ばれ、中国のみならず日本・朝鮮・ベトナム等広範囲の地域に広がっていった。学問を「小学」「大学」という段階で区分することも、近世の東アジアにおいて共有されることとなる。(中略)
大学の学問に関して朱熹は、『大学章句』を始めとする『四書集注』や『近思録』(呂祖謙との共編)などを執筆した。そして淳熙十四年(一一八七)、小学を学ぶためのテキストとして『小学』を編纂した。朱熹の著書は、その後の朱子学の影響と共に大いに読まれることとなる。日本でも、江戸時代の藩校や書院では『四書集注』と共に、『小学』が教科書として読まれていた。歴史上、『小学』を読んだ者は相当数にのぼるであろう。ところが、近代以降、研究対象として『小学』が採りあげられることはほとんどない。『四書集注』と共にかつては東アジアにおいて圧倒的な読書人口を持った『小学』であったが、現在の研究においてはほとんど顧みられることがない。その要因は主に二つある。一つは著者の問題、いま一つは経書などから引用してきただけの書と見られることである。(中略)
『小学』については、明代までは朱熹の著とされてきたが、『四書全書総目』が「『小学』の編纂は、実際には劉清之に託した」と記したことを筆頭として、清以降になると、朱熹が劉清之(一一三三~一一八九)に依頼して編纂した書とする見方が増えていった。『小学』は劉清之と朱熹の共編、あるいは朱熹は指示を出しただけで実際には劉清之が編纂したという見解である。『小学』が朱熹の編纂書でなければ、朱熹研究として注目されないのは仕方のないことである。しかし、朱熹と劉清之の『小学』に関するやりとりを確認する限り、現行本『小学』は朱熹の意が反映された朱熹の編纂書である。(中略)
……本稿では、近代以降の研究対象としてはあまり顧みられることのない『小学』について、朱熹がどのような見解に基づき、どのような意図を働かせていったのかを検討していく。朱熹の『小学』編纂に対する配慮を確認するものであり、いわば本稿は編纂者としての朱熹に注目するものである。



On the Compilation of Xiaoxue 小学 : Zhu Xi 朱熹

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