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『封神演義』の成立と展開  これから出る本

『封神演義』の成立と展開

◎神怪小説『封神演義』の版本系統を明らかにした最新成果をお届けする!

著者 尾﨑 勤
ジャンル 中国古典(文学)
中国古典(文学) > 明清
出版年月日 2026/02/13
ISBN 9784762967634
判型・ページ数 A4・396ページ
定価 11,000円(本体10,000円+税)
在庫 未刊・予約受付中
 

目次

前言
第一章 『封神演義』版本概論――テキスト七類の継承関係――
第一節 各類を代表するテキストの書誌     第二節 影舒本の印本三本
第三節 舒本・影舒本・織田本の関係      第四節 舒本と織田本の関係
第五節 二十巻本・不分巻本・十九巻本の関係  第六節 百巻本
第七節 袖珍本と鉛印本の底本         第八節 各系統内の展開と鉛印本における校勘
第二章 『封神演義』第九十九回の問題――鉛印本における改変――
第一節 封神表の改変             第二節 鉛印本の書誌
第三節 誤解の原因              第四節 戯曲における改変
第三章 『封神演義』の簡本について――十巻本と八巻本――
第一節 上図下文の簡本            第二節 織田本の刊行時期
第三節 詳細不明の上図下文本         第四節 上図下文ではない簡本
第五節 簡本の継承関係
第四章 『封神演義』『堅瓠集』の清籟閣蔵板本と褚人穫
第一節 『封神演義』の四雪草堂本       第二節 『堅瓠集』
第三節 褚人穫                第四節 褚逢椿
第五節 褚氏の居住地             第六節 清籟閣蔵板本の背景
第五章 『封神演義』出版史――蘇州を中心に――
第一節 舒本の刊行者             第二節 舒本の刊行時期
第三節 四雪草堂本の三刻本まで        第四節 十九巻重刊本
第五節 掃葉山房刊本と申報館鉛印本      第六節 簡本
第七節 袖珍本
第六章 『封神演義』の上図下文本について――織田本とその推定上の祖本――
第一節 舒本と上図下文本の書誌        第二節 織田本の巻末題
第三節 織田本における節略の様態       第四節 明代小説の簡本の縮小率
第五節 『水滸伝』の挿増本と志伝評林本    第六節 『西遊記』の清白堂本と閩斎堂本
第七節 上図下文本の翻刻の法則性       第八節 行款の変更理由
第七章 『封神演義』の改作について――古本から今本へ――
第一節 封神表の基礎的検討          第二節 四大諸侯
第三節 崇応彪                第四節 哪吒と楊戩
第五節 孟津の戦いの人外たち         第六節 妲己
第七節 鄧華
補記 新発見の『新刻全像商代通俗演義志伝』について
終章 今本『封神演義』の成立
第一節 史実への接近             第二節 『三国志演義』との比較
第三節 『水滸伝』との比較          第四節 地の文とセリフの区別
第五節 文王・武王の機能           第六節 『封神演義』の創作性
附録 『封神演義』版本目録稿(第二版)
上篇 所蔵者別典拠一覧
凡例/北京/上海/天津/重慶/河北/山西/内蒙古/遼寧/吉林/黒龍江/陝西/甘粛/寧夏/
青海/新疆/山東/江蘇/浙江/安徽/江西/福建/河南/湖南/広東/四川/貴州/雲南/香港
/臺灣/日本/韓国/米国/英国/オーストラリア/カナダ/デンマーク/フランス/ドイツ/オ
ランダ/シンガポール/スイス/バチカン/個人蔵
下篇 『封神演義』版本目録
凡例/二十巻本/十巻本/八巻本/百巻本/不分巻本/十九巻本/袖珍本/鉛印本/石印本/抄本
/未分類
あとがき/人名索引/書名索引/版元索引

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内容説明

【前言より】

 明清小説研究の第一歩は版本研究である。むろん版本研究は明清小説に限らず、あらゆる文学の基礎だが、明清小説の場合、他のジャンルよりも版本研究の比重が大きくなる。明清小説の多くは通俗的な商業出版によって世に出るため、一度刊本が出たあとも文章や内容がすぐには固定せず、書き換えが繰り返されるからである。
 逆に言えば伝統的な詩文では稿本が残っていないかぎり窺い知ることができない定本形成の過程を、明清小説は版本を比較することで知ることができる。明清小説において版本研究を行う意義の一端はここにある。
 『封神演義』の版本については大塚秀高氏の『増補中国通俗小説書目』(汲古書院、一九八七年)がすでに主要な種を網羅する上、その分類は現在でも価値を失っていない。また版本間の継承関係については岩崎氏が初期の版本に関して重大な発見をしている(第一章第四節で見る)。本書は両氏の業績に依拠しつつ、岩崎氏も未着手の『封神演義』の版本全体の継承関係を明らかにすることに努めた。
 明清小説は版本間の関係の複雑さが他のジャンルの比ではないため、版本研究をどれだけ深めても一向に底が見えない難しさがあるが、『封神演義』の場合、『三国志演義』や『水滸伝』ほどには版本が多様ではなく、結局のところ、一系統しか存在しないとも言える(それを明らかにしたこと自体、一定の意義を有するものと思う)。それでも本書の大半は版本研究に費やさざるを得なかった。『封神演義』の文学的評価については終章でわずかに端緒に就いたのみである。

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