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南宋江西吉州の士大夫と宗族・地域社会 汲古叢書161

南宋江西吉州の士大夫と宗族・地域社会 汲古叢書161

◎斯界の第一人者が明らかにする士大夫社会!

著者 小林 義廣
ジャンル 東洋史(アジア)
東洋史(アジア) > 宋元
シリーズ 汲古叢書
出版年月日 2020/10/08
ISBN 9784762960604
判型・ページ数 A5・488ページ
定価 11,000円(本体10,000円+税)
在庫 在庫あり
 

目次

はしがき

序 章 本書の目的と対象  
 はじめに                 
 一 宋代地域社会論簡介
 二 江西あるいは吉州をめぐる研究簡介   
 三 南宋吉州の地理・生態環境簡介

第一章 王庭珪の家族と地域社会
 はじめに                 
 一 王庭珪小伝
 二 王庭珪の姻戚関係と交友関係
 三 王庭珪と地域社会
 (一)北宋末・南宋初の吉州
 (二)王庭珪の「盗賊論」  
 小 結

第二章 宋代吉州の胡氏一族について――胡銓を中心にして――
 はじめに                 
 一 胡詮小伝
 二 胡氏一族と科挙・姻戚         
 三 胡氏一族と学問・宗族活動   
 四 胡氏一族と地域防衛
 小 結

第三章 宋代吉州の周氏一族について――周必大を中心として――
 はじめに                 
 一 周必大小伝
 二 周氏一族と科挙・姻戚         
 三 周氏一族の宗族活動
 四 郷里社会における周必大の交遊関係                     
 小 結

第四章 楊万里の家族と地域社会
 はじめに                
 一 楊万里小伝
 二 楊万里の一族・姻戚と生活信条
 三 楊万里と地方政治・交友関係
 (一)楊万里と地方政治
 (二)楊万里の交遊関係
 小 結

第五章 吉水県の曾氏一族をめぐって――曾三異を中心に――
 はじめに 
 一 吉州吉水県の曾氏一族について
 (一)曾氏一族の居住地
 (二)曾氏一族の各人物と生計
 二 曾三異の生涯・学問     
 (一)曾三異の生涯  
 (二)曾三異の学問
   三 曾氏一族の姻戚と交友関係   
 小 結

第六章 南宋吉州の欧陽氏一族と地域社会――欧陽守道を例にして――
  はじめに                 
 一 欧陽守道小伝
 二 欧陽守道と地域社会
 三 欧陽氏一族と欧陽守道 
 (一)永和派欧陽氏と欧陽守道 
 (二)欧陽脩「欧陽氏譜図」と欧陽守道
 (三)欧陽守道の宗族観念                         
 小 結

第七章 劉辰翁における宗族と地域社会
 はじめに                 
 一 劉辰翁小伝
 二 劉氏一族と科挙・宗族         
 三 劉辰翁と地域社会       
 小 結

第八章 南宋吉州の士人と地域社会
 はじめに                 
 一 士人層の拡大     
 二 在郷士人の生計
 三 在郷士人と地域防衛、公共事業
 (一)南宋初期の地域防衛 
 (二)公共事業――安福県の寅陂を事例として   
 (三)士人同士の繋がり  
 (四)南宋末の地域防衛             
 小 結

終 章 南宋吉州の地域社会と宗族
 はじめに                 
 一 吉州における族譜編纂の情況
 二 吉州における祖先祭祀         
 三 宗族と地域社会     
 結 語

附篇一 南宋初中期江西中部における一士大夫と地域社会――臨江軍新喩県の謝諤の事例――
 はじめに                 
 一 謝諤小伝
 二 謝諤の交友関係            
 三 謝諤と地域社会 
 結 語

附篇二 書評:Ann Gerritsen,Jian Literati and the Local in Song-Yuan-Ming China

附篇三 書評:銭杭・謝維揚
       『伝統与転型:江西泰和農村宗族形態――一項社会人類学的研究――』

  あとがき
  索 引
  中文要旨
  英文要旨

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内容説明

本書は、南宋時期における河西吉州の士人・士大夫が、地域社会と関わりながら、どのように自己と家族・一族の生き残りを図ろうとしたのか、ここ一〇年ほどに亙って考察した諸論考から成り立っている。
宗族や地域社会に関する関心は、一九八二年に「宋代史研究における宗族と郷村社会の視角」(『名古屋大学東洋史研究報告』八号)と題する研究史整理の論考を公表したとき以来、一貫して持ち続けていた。この論考は、戦後、日本における宋代史研究の主流を形成していた、地主・佃戸制を中心とする生産関係論的研究で、果たして、宋代という時代像を描き切れているのかという素朴な疑問に基づいて執筆したものであった。結論として、一面的な宋代史研究から脱却するためにも、戦前から戦後にかけて多くの研究者を魅了してきた郷村社会や宗族といった側面に再び光を当てるべきだという提言をした。とりわけ、私自身は宗族に対して、強い関心を寄せていた。
還暦を迎えた頃から、初心に立ち返ろうとして、欧陽脩の郷里の、吉州出身の士大夫たちの文集を読み始め、読了する度に論考として纏める作業を行った。宋代、とりわけ南宋の吉州は、士大夫個人の文集が相当に残っていることが幸いした。当初は闇雲に論考を纏めていたけれども、取り立てて先行きの見通しがあったわけではない。何本書いても、纏まった結論めいたものが出てくるという信念も確信もなかったのである。それが、何とはなく、地域社会と士大夫、家族や宗族という幾つかの要素が繋がるのではないかと思い始めたのは、ここ二~三年ほど前からである。無論、それは単なる思い込みの可能性もあるのだが、一応の形になりそうだと感じて、一冊に纏めることにした。



Literati. Lineage, and Local Society in Jizhou, Jiangxi Circuit during the Southern Song Period

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