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汲古叢書154「満洲国」の日本人移民政策 

汲古叢書154「満洲国」の日本人移民政策 

中国東北史の一部を構成する満洲移民政策の展開を実証的な検討により把握する

著者 小都 晶子
ジャンル 東洋史(アジア)
東洋史(アジア) > 近現代
シリーズ 汲古叢書
出版年月日 2019/08/23
ISBN 9784762960536
判型・ページ数 A5・260ページ
定価 8,800円(本体8,000円+税)
在庫 在庫あり
 

目次

序 章


第1部 中央の政策決定と実施

 第1章 移民機関の設置にみる満洲国の政策関与
  Ⅰ 政策実施への関与
  Ⅱ 政策決定への関与
  Ⅲ 移民行政における「内面指導」

 第2章 移民政策の制度化と戦時体制への移行
  Ⅰ 機構の拡充
  Ⅱ 政策実施の制度化
  Ⅲ 戦時下の移民政策

 第3章 移民用地の取得・開発・配分
  Ⅰ 用地取得の変遷
  Ⅱ 満洲国の「未利用地開発」
  Ⅲ 用地配分の制度化

 第4章 満洲国立開拓研究所の調査と研究
  Ⅰ 設立の経緯
  Ⅱ 組織と活動
  Ⅲ 調査の現場から


第2部 地域における政策展開

 第5章 日本人移民の入植と地域の抵抗――三江省樺川県の事例から
  Ⅰ 県の概況
  Ⅱ 関東軍の介入と地域の反応
  Ⅲ 初期移民政策の転換
  Ⅳ 移民政策の展開

 第6章 「未利用地開発」の実施――錦州省盤山県の事例から
  Ⅰ 県の概況
  Ⅱ 朝鮮人移民の入植――営口安全農村の成功
  Ⅲ 盤山県の土地改良事業と日本人開拓団の入植

第7章 戦時下の「開拓増産」と「農地開発」
              ――吉林省徳恵県の事例から
  Ⅰ 県の概況
  Ⅱ 第二松花江開発の背景
  Ⅲ 第二松花江開発と広島総合開拓団

終 章


 参考文献一覧
 あとがき

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内容説明

【序章より】

1932~1945年、日本は約27万人の農業移民を中国東北地域に送出した。「開拓団」と呼ばれた彼ら日本人農業移民は、1945年8月現在、在留日本人総数155万人のうちの17パーセントを占めたにすぎなかったが、戦後現地で死亡した開拓団関係者は民間人犠牲者の40パーセントに及んだ。

日本人満洲農業移民に関しては、送出の背景や政策展開、営農実態などを中心に、実証分析が積みあげられてきた。他方、日本で、満州移民をめぐっては引揚げの悲劇に規定されて被害の面を指摘するもの、その被害を生み出した加害の面を指摘するものに二分されてきた。しかし、こうした枠組みでは、中国東北地域は移民の後景に退いている。これに対し、本書は移民の入植地となった満洲国がこの政策をどのように実施し、それが中国東北地域でどのように展開されたのかを検討する。

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