ホーム > 毛宗崗批評『三国志演義』の研究

毛宗崗批評『三国志演義』の研究

毛宗崗批評『三国志演義』の研究

表現技法と描かれた時代風潮から、毛宗崗本の思想的特徴を解明する

著者 仙石 知子
ジャンル 中国古典(文学)
中国古典(文学) > 明清
出版年月日 2017/12/28
ISBN 9784762966057
判型・ページ数 A5・320ページ
定価 8,250円(本体7,500円+税)
在庫 在庫あり
 

目次

序 章 明清小説研究と時代風潮
 毛宗崗本の概略
 毛宗崗本『三国志演義』の先行研究
 小説研究と国民意識
 本書の方法論

第一章 劉備の仁
 鞭打った者は誰か
 妓女の涙か求賢の涙か
 仁に過ぎる
 梟雄劉備

第二章 関羽の義
 曹操を殺そうとする義
 曹操を殺さない義
 義の多義性と毛宗崗本が重視する関羽の義

第三章 劉封と関平
 宗族継承における養子の重要性
 異姓養子、劉封
 同姓養子、関平
 劉備・諸葛亮の無謬性

第四章 曹操の遺令
 曹操臨終の表現
 毛宗崗本の「曹操分香売履」と陸機の「弔魏武帝文」
 妾への遺贈に込められる愛

第五章 諸葛亮の智
 神格化された諸葛亮像
 非難される諸葛亮
 学んで至る「智」絶

第六章 貂蝉の孝と義
 『三国志演義』において貂蝉が呂布の妻ではない理由
 貂蝉への高い評価よりみる貞節と孝
 毛宗崗本に描かれた女性像からみた貂蝉

第七章 徐庶の母
 忠孝の葛藤
 曹操への忠
 劉備への忠

第八章 関公秉燭達旦
 女性の貞操を守る「男女の義」
 明清小説に描かれた旅と女性
 姦淫を禁ずる関帝

第九章 母と子の表現
 劉備の糜・甘夫人と劉禅
 『三国志演義』に取り入れられた「母以子貴」について
 「子以母貴」による劉禅継嗣の廻護

終 章 毛宗崗本『三国志演義』の表現と時代風潮
 毛宗崗本『三国志演義』の表現
 毛宗崗本『三国志演義』に描かれた時代風潮

附 章 中国近世小説研究の一視角
 中国小説における社会背景理解の必要性
 人情・世情小説と族譜
 『三国志演義』の分析材料と多様性

文献表
あとがき

このページのトップへ

内容説明

【序章より】(抜粋)
本書は、なぜ、毛宗崗本が通行本になったのか、という問題を解明するために、李卓吾本から毛宗崗本への書き換え、および毛宗崗本が付けた評に着目する。その際、第一に、魯迅の方法論を継承して、文学としての表現技法を検討していきたい。毛宗崗本の文学表現を明らかにすることからは、多くの版本が出回る中で、毛宗崗本が通行本になった理由が浮かび上がってこよう。第二に、津田左右吉の方法論を継承して、毛宗崗本の表現に現れる社会通念の検討により時代風潮を明らかにしていきたい。そのことにより、明清時代の女性の位置や儒教の規制力の強さが確認されるだけでなく、善書・関帝信仰の反映など、道教の浸透も見えてくるであろう。

本書は、中国社会のあり方を考察する手掛かりとして、『三国志演義』を中心とした中国古小説を題材としながら、近世中国の規範意識を解明するものである。

このページのトップへ