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汲古叢書148 中国古代貨幣経済の持続と転換  新刊

目次

【主要目次】
序 章
第一章 後漢貨幣経済の展開とその特質
第一節 後漢時代の五銖銭制度
一 五銖銭の鋳造再開          二 五銖銭の継続的鋳造
第二節 諸貨幣の民間社会への浸透
一 複数貨幣の並存状況       二 貨幣としての銭      三 貨幣としての金銀
四 貨幣としての布帛        五 貨幣としての穀物・真珠
第三節 銭・黄金・布帛の社会的機能
第二章 後漢時代における金銭至上主義の台頭
第一節 対羌戦争の軍事費
第二節 後漢財政における軍事費の割合
第三節 後漢による財政補填策
一 多様な財政補填策            二 民一人当たりの銭所有量(平均値)の増加
第四節 金銭至上主義とそれに対する反動
第三章 後漢末の群雄の経済基盤と財政補填策
第一節 経済基盤としての州
第二節 州をめぐる群雄の争い
一 群雄割拠期を生き抜いた州長官――益州劉氏と荊州劉氏
二 群雄割拠期に台頭した群雄①――曹操・袁術・袁紹
三 群雄割拠期に台頭した群雄②――劉備と江東孫氏
第三節 群雄の財政補填策
第四章 曹魏の税制改革と貨幣経済の質的変化
第一節 政策としての女織・婦織           第二節 漢代における布帛生産量の拡大
第三節 後漢末の戸調制               第四節 曹魏における五銖銭の流通
第五章 蜀漢の軍事最優先型経済体制
第一節 劉備軍団と軍事最優先型経済体制
一 荊州期         二 入蜀期       三 劉巴の名目貨幣政策
第二節 漢中争奪戦と南征の経済的意義
第三節 北伐の経済的背景
一 蜀漢の人口比率と軍事最優先型経済体制      二 蜀漢の屯田政策と対外遠征
第四節 蜀漢末期の軍事最優先型経済体制とその変化
第六章 三国時代の西南夷社会とその秩序
第一節 夜郎・指・證都の地          第二節 昆明・俶・徙・筰都の地
第三節 瀬蟇・白馬羌の地           第四節 血縁と恩信
第五節 諸葛亮南征期             第六節 諸葛亮南征以降
第七章 孫呉貨幣経済の構造と特質
第一節 孫呉貨幣経済と税制    第二節 銭納人頭税    第三節 曹魏戸調制と孫呉調制
第四節 商業関連税        第五節 孫呉の人口統計と吏卒数
第八章 晉代貨幣経済と地方的物流
第一節 晉代における国家的物流の弱体化
第二節 晉代貨幣経済の存立背景とその浸透度
第三節 晉代における銭と布帛の特定用途化
終 章
あとがき       索引 (日本人研究者名・外国人研究者名・史料名・語彙・年号・図表)
付 表 (巻末横組)
付表1 各種の 『後漢書』 よりみた銭・黄金・布帛の授受
付表2 後漢時代の対羌戦争と自然災害に関する年表
付表3 蜀漢の北伐と軍糧の関連年表
付表4 各種の 『晉書』 よりみた銭・黄金・布帛の授受

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内容説明

【序章より】(抜粋)

  本書では、まず後漢時代に関する文字史料のなかに、前漢時代に量的にまさるともおとらぬ貨幣(とくに銭と布帛)の用例がみいだされることを指摘する。また三国時代と両晉時代の文字史料のなかにも銭と布帛に関する相当数の記載があることをしめす。それらの史料を手がかりとして、後漢三国両晉貨幣経済の存在を闡明し、それと前漢貨幣経済とのあいだに質的差異があることを論ずる。また考古資料や出土文字資料を加味しつつ、後漢・三国・両晉という三つの時代のあいだ、ひいては三国(曹魏・蜀漢・孫呉)のあいだや両晉(西晉・東晉)のあいだにも貨幣・経済・財政の面でさまざまな相異があったことをのべ、後漢三国両晉貨幣経済の時代的・地域的差異に、その当時の経済・制度・習俗が影響を与えていたことを具体的に明らかにする。
  筆者は二〇〇九年六月以来、“多元的貨幣論”の立場から、前漢末期以後の貨幣経済史の再検討にも着手した。その成果をまとめたものが本書である。また本書は、後漢時代・三国時代・両晉時代の貨幣経済史を扱い、取り扱う時代の範囲からみれば、殷周時代から前漢時代までの経済史を扱った前著『中国古代貨幣経済史研究』の続編にあたる。 実際に本書では、前著で提示した交換史観(communication history)という歴史の見方をも色濃く継承している。交換史観に関してはその後、知的好奇心あふれる高校生以上の読者に向けた拙著『中国古代の貨幣 お金をめぐる人びとと暮らし』においても平易な説明につとめ、共著『つながりの歴史学』第一章でもその学説史的背景の詳細な解説を試みた。本書はそのような見方を受け継ぎ、前漢時代以後の貨幣経済史を取り扱ったものである。ただし本書は、前述したように本書独自の具体的課題ももっており、その意味で、前著のたんなる続編であるにとどまらない意義をもつ。むしろ本書は、前著の枠組みを受け継ぎつつも、後漢三国両晉貨幣経済の構造と特質を別途具体的に検討しようとしたものなのである。

 

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