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中峰明本『山房夜話』訳注

中峰明本『山房夜話』訳注

◎生涯住持せず遊歴を通した名僧が、難解な禅門の諸事について明解に解説。初の現代語訳なる!

著者 野口 善敬
松原 信樹
ジャンル 中国思想・哲学
中国思想・哲学 > 宋元
仏教学
出版年月日 2015/05/01
ISBN 9784762965494
判型・ページ数 A5・378ページ
定価 本体8,000円+税
在庫 在庫あり
 

内容説明

【主要目次】訳注は【口語訳】【原文】【書き下し文】【語注】の順に並べ、

              書き下し文は現代仮名遣いとした。

序(松原信樹)

『山房夜話』 訳注(野口善敬・松原信樹)

  巻 上【一】~【一一】

         禅定の禅と達磨の禅との差異/教外別伝について/永嘉

         の禅と達磨の禅/経典の言葉と禅宗の直指の説/永明和

         尚の『宗鏡録』と『万善同帰集』について/『華厳経』の十地

         の説と禅/見性という道理について/禅浄一致/五家の宗

         派/公案とは/公案について

  巻 中【一二】~【二七】

         工夫についての種々の問題/参禅と開悟/参禅について/

         偸心①/偸心②/昏沈・散乱/出家の前と後/悟後の修行

         /煩悩即菩提/万善/善悪/三教/碧巌録/戒律につい

         て/仏教における神通/祖師の神通力

  巻 下【二八】~【四二】

          霊知・真知・妄知/塵労/住持の条件/住持と名声/出処

          進退/公私/二種類の威力/仏法とは/寺の建物・道具を

          手に入れる方法/真の説法/悟後の報縁/嗣法のあり方/

          悟ったことを言うべきか・悟道の標榜の是非/坐脱/結語

 付 録 (一)中峰自叙伝/(二)中峰和尚座右銘

  解 説(野口善敬)中峰の禅風と中国における評価〔未悟の標榜・入

           寺の拒否と庵居・詩文僧としての中峰・多弁に対する批判〕

           /日本における幻住派の存在/中峰の著述と今回の訳注

           〔山房夜話・中峰自叙伝・中峰和尚座右銘〕 参考文献/

            禅宗法系図/索 引(語句・人名・地名・書名)

【本書より】(抜粋)

元代禅門を代表する中峰明本(一二六三~一三二三)は、無準師範(一一七八~一二四九)三伝の孫であり、臨済宗楊岐派(破庵派)の系譜に属する僧侶である。その法脈は中国においては清朝に至るまで臨済の正系として法孫を繁らせており、日本に黄檗宗を伝えた隠元隆琦もこの系統に属している。また日本においても、その法系は入元僧である無隠元晦(?~一三五八)・古先印元(一二九五~一三七四)・遠渓祖雄(一二八六~一三四四)などによって伝えられ、幻住派として日本中世禅宗史に大きな足跡を残している。

  中峰は、生涯、大刹に住持することなく、江蘇・浙江の地で庵居または舟居し、修行僧や在家信者に法を説いた。従ってその『語録』には「上堂」の語はなく「示衆」が存するのみであるが、その他に著述がいくつか残されている。今回、訳注の対象として取り上げた『山房夜話』三巻もその一つである。その他、今回の訳注には付録(一)として『東語西話』に見える中峰自撰の行状の文章を「中峰自叙伝」として加え、更に付録(二)として有名な『中峰和尚座右銘』を収載した。

(序 松原信樹)

 今回の訳注の対象である『山房夜話』は、『中峰広録』巻一一に上中下の三章に分けて収載されている。もともと中峰在世中に成立した著作集である『一華五葉』に、『山房夜話』と同じく中峰が撰述した『信心銘闢義解』・『楞厳徴心弁見或問』・『幻住家訓』・『擬寒山詩』と共に入れられていたものを、『広録』の編輯に当たって採録したものである。その内容については、見ての通り出だしの【一】と末尾の【四二】では、一人の隠者との一晩での問答であったという体裁をとっているが、【二】~【四一】の中間部は不特定の人物との「或問」形式をとっており、【八】では「西帰子」という人物も登場し、禅に関する事柄についての詳細な解説が展開されている。中峰以後の禅門に顕著となる「禅浄双修」に関する言及は重要な一段であるし、「公案」の説明解釈は宗門において特に有名なものである。この書は、中国の明末に出された湛然円澄(一五六一~一六二六)の『宗門或問』一巻や永覚元賢(一五七八~一六五七)の『寱言』二巻(『鼓山永覚和尚広録』巻二九)といった宗門における或問形式の著述の先駆けとなったものであり、難解とされる禅門の諸事について明快な説明が加えられている。不立文字の中に在って、初学者の参禅学道を助けるための老婆親切な一篇と言えよう。

(解説 野口善敬)

 

 

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