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曹操高陵の発見とその意義

―三国志 魏の世界―

曹操高陵の発見とその意義

「曹操墓」発見後、初の国際シンポジウム―豊富な写真と図面資料から曹操墓に迫る

著者 愛媛大学東アジア古代鉄文化研究センター
ジャンル 東洋史(アジア)
東洋史(アジア) > 魏晋隋唐
出版年月日 2011/03/18
ISBN 9784762928901
判型・ページ数 A5・170ページ
定価 3,300円(本体3,000円+税)
在庫 在庫あり
 

目次

【内容目次】

   国際シンポジウム『三国志 魏の世界』開催によせて…孫 新 民

  シンポジウム講演録

   一 『三国志 魏の世界』開催にあたって

     ――経緯と趣旨―― ……………………………… 村上 恭通

   二 漢末・三国時代考古およびその新展開

     ――北方曹魏を中心に―― ……………………… 白 雲 翔

   三 曹操高陵の発見と発掘および初歩研究…………… 潘 偉 斌

   四 曹操高陵出土文物の研究

     ――安陽高陵出土石牌刻銘にみる曹操のすがた――     

                 ………………………… 郝 本 性

   五 漢代陵墓考古と曹操高陵…………………………… 張 志 清

   六 討 論 会

  付 録

   付録一 河南安陽市西高穴曹操高陵

       …………………… 河南省文物考古研究所・安陽県文化局

   付録二 曹操高陵に関する中国人研究者の見解について

   付録三 曹操高陵発見前後の経緯

  あとがき・中文目次

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内容説明

【本書】より

本書は、二〇一〇年十一月二十七日・二十八日に、愛媛大学南加記念ホールにおいて開催されたシンポジウム『三国志 魏の世界――曹操高陵の発見とその意義――』(愛媛大学東アジア古代鉄文化センター主催)の講演録である。二〇〇九年十二月の報道以来、曹操高陵の発見は社会的に大きく注目されてきたが、一方で、西高穴二号墓の被葬者が曹操であることを頑として認めない一派もいる。確かに報道直後は情報も少なく、疑問の入る余地も多かった。しかし、墓葬や出土遺物の詳細が明らかになるにつれ、論理的に否定しうる説はほとんどみられなくなる。墓葬の立地・規模・形態、遺物の種類・数量など全ての資料を文献資料と結び付け、総合的・体系的に分析するならば、被葬者は曹操以外に考えられない。ところが、いわゆる「反曹派」は、数々の証拠を前に論理が破綻したためか、墓や出土遺物そのものを捏造したものと断じて、学術的・論理的な議論を一切拒否する有様である。残念なことは、日本においても、インターネット上の反曹派の言説を根拠に、曹操墓とすることに疑義を呈する声も少なくないことである。発掘報告書の刊行が待たれており、第一次資料を手にすることができない現在では、それもいたしかたない。膨大な出土遺物の整理は時間がかかる作業であり、現地では、日夜資料整理が鋭意進められている。しかし、曹操墓の真偽を知るためには、やはり現場の生の声が必要である。それが今回のシンポジウムを開催し、また、その記録を出版するに至った理由である。

中国の考古学界では、西高穴二号墓が曹操墓か否かという議論はすでに過去のものであり、研究は次の段階に進んでいる。今回のシンポジウムおよび講演録の出版が、日本における曹操墓研究発展の一つの画期となるならば、これ以上の喜びはない。

本書には、シンポジウムで示された写真・図面資料を収録するとともに、『考古』二〇一〇年第八期所収の 発掘簡報『河南安陽市西高穴曹操高陵』の日本語訳を付録として収録している。

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