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汲古叢書181 前漢官僚機構の構造と展開  新刊

汲古叢書181 前漢官僚機構の構造と展開

◎前漢一代をかけた統一国家体制の展開の中、官僚機構の再編はどう位置づけられるのか

著者 福永 善隆
ジャンル 東洋史(アジア)
東洋史(アジア) > 殷周秦漢
シリーズ 汲古叢書
出版年月日 2024/03/13
ISBN 9784762960802
判型・ページ数 A5・588ページ
定価 15,400円(本体14,000円+税)
在庫 在庫あり
 

目次

序章 秦漢史研究の現状と課題――制度史研究を中心として――

 第一節 秦漢史研究の展開概観――皇帝権力と国家体制の展開を中心として――
   (一) 秦漢帝国と古代帝国論――西嶋・増淵論争とその深化――
   (二) 古代帝国論の再検討と地域史の視点
   (三) 地域史研究の影響と前漢の歴史像の変化
 第二節 本書の視角と構成
   (一) 内朝研究の現状
   (二) 内朝研究の課題――秦漢史研究の現状から見て――
   (三) 本書の視点と構成

第一章 前漢後半期における中央監察の実態

 第一節 問題の所在――王勇華氏の見解によせて――
 第二節 丞相司直・「侍御史」の弾劾事例
 第三節 「侍御史」の弾劾活動とその特徴
 第四節 丞相司直の弾劾活動とその特徴

第二章 前漢における丞相司直の設置について――丞相制の展開と関連して――

 第一節 前漢草創期の政治状況
 第二節 丞相に求められる資質・条件の変遷
 第三節 丞相司直の設置の意義

第三章 前漢武帝期における中央支配機構の展開
             ――所謂御史大夫と御史中丞の分化をめぐって――

 第一節 前漢初期〜武帝期における詔書伝達経路の変化
 第二節 前漢前半期における地方監察の展開
 第三節 武帝期における監察体制の改変
 第四節 詔書伝達経路及び監察系統の一元化の背景とその影響

第四章 前漢後半期における丞相の政治的位置づけ
             ――丞相の職責における礼制的側面を中心として――

 第一節 丞相長史の弾劾事例とその性格
 第二節 丞相長史と「侍御史」の関係
 第三節 丞相の政治的位置づけ――丞相司直と丞相長史との関係を中心として――

第五章 前漢官僚機構における御史制度の展開

 第一節 「侍御史」の監察の始源及びその展開
 第二節 前漢官僚機構における「侍御史」の位置づけ――皇帝と官僚機構の関係から――
 第三節 前漢後半期における御史制度の展開とその背景

第六章 前漢刺史再考――武帝期における刺史の設置を中心として――

 第一節 前漢官僚機構における刺史の位置づけ『漢書』――京房伝の記載から見た――
 第二節 御史中丞及び丞相府と刺史の奏事との関係
 第三節 武帝期の政治状況と刺史の設置

第七章 前漢後半期における御史と尚書――監察制度の展開から見た――

 第一節 前漢後半期における御史と内朝の関係
 第二節 前漢後半期における御史と尚書の関係
 第三節 前漢後半期における尚書の展開と御史
             ――元帝期・考功課吏法の導入を手がかりとして――

第八章 前漢における内朝の形成――郎官・大夫の変遷を中心として――

 第一節 内朝官就任者の分析
 第二節 郎官・大夫と内朝官との関係
 第三節 宮中構造から見た郎官・大夫と内朝官
 第四節 漢初の宮中とその官僚構造
 第五節 宮中における官僚構造の変化と内朝の形成

第九章 漢代における尚書と内朝

 第一節 皇帝と尚書
 第二節 内朝及び尚書の展開――前漢武帝期から後漢にかけて――
 第三節 内朝・尚書の拡大・整備の背景

第十章 前漢後半期における官僚機構の構造の展開
               ――尚書の展開と三公制の形成を中心として――

 第一節 前漢後半期以降の人事運用――三公による考課と人事――
   (一) 三公による考課と人事
   (二) 『漢旧儀』に示された人事制度の再検討
   (三) 人事考課における三公と尚書の関係
 第二節 前漢後半期における人事運用と尚書
   (一) 前漢後半期における尚書の分曹
   (二) 三公曹設置の意義
 第三節 前漢後半期における官僚機構の再編と三公制

終章 前漢における統一国家体制の展開と官僚機構の再編

 第一節 前漢後半期における官僚機構の構造――内朝と外朝――
 第二節 前漢後半期における官僚機構の再編――秦漢統一国家体制の展開――
   (一) 秦から前漢前半期にかけての郡県制と監察制度の展開
   (二) 前漢後半期における中央官僚機構の展開


参考文献一覧
初出一覧
あとがき
中文要旨
索引

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内容説明

【序章より】
 前漢後半期の中央官僚機構の研究は、これまで内朝・外朝の問題に多くの議論が集中してきた。確かに、その議論が漢代官僚制の研究に裨益してきたところは大きいものがある。しかし、それとともに内朝と外朝と大きく二分して捉えることによって、それぞれを構成する諸官の相互作用によって展開していく複雑な様相は、かえって捨象されてしまった側面もあるように思われる。諸官の展開を埋没させず、その上で、内朝・外朝のような官僚機構全体の構造とその展開の方向性を同時に描き出すことはできるのであろうか。本書は、そのささやかな試みである。

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