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明代白話小説の出版  新刊

――短篇集『古今小説』と「三言」

明代白話小説の出版

◎版本の流れが発展を促した明代短篇小説を追う!

著者 廣澤 裕介
ジャンル 中国古典(文学)
中国古典(文学) > 明清
出版年月日 2023/03/31
ISBN 9784762967283
判型・ページ数 A5・350ページ
定価 9,900円(本体9,000円+税)
在庫 在庫あり
 

目次

まえがき
  序 章 『古今小説』の發見

第一部 『古今小説』原刻系の諸問題

第一章 『古今小説』諸版本の成立問題
一 『古今小説』關連の諸版本の書誌データ      
二 圖像の比較
三 本文テキストの比較               
小 結

第二章 『古今小説』の成立と葉有聲
一 葉有聲と『古今小説』
二 葉有聲
三 葉有聲の出版活動       
四 『古今』の流布と葉有聲       
小 結

第三章 「董其昌」の一部になった一族 
葉有聲、葉有年、葉翔龍、葉映榴と葉洮
一 上海新塲鎭葉氏出世の前夜
二 葉有聲
三 葉有年                        
四 葉翔龍の妻と董其昌
五 『淸史稿』に名を殘す葉家の子孫たち          
小 結

第二部 『古今小説』覆刻系の諸問題

第四章 覆刻系諸本の出版
一 乙本系の特徴     
二 補刻と修正     
三 法政本と内閣本     
小 結
第五章 『喩世明言』四十卷本考

一 衍慶堂刊『喩世明言』二十四卷本の形態
二 衍慶堂刊『警世通言』二十四卷本の形態
三 『喩世明言』四十卷本の復元          
小 結
第六章 北京大學圖書館所藏『喩世明言』殘本について 

一 殘本が使用した版木
二 卷五の收錄と版木について           
小 結
第三部 『古今小説』『警世通言』『醒世恆言』の收錄作品とその展開

第七章 明末の蘇州と揚州の物語 短篇白話小説集『警世通言』から
一 蘇州――物語と讀者――
二 揚州――河川と金錢の物語――
小 結

第八章 白話小説を構成するもの 地理情報が語るもの
一 先行研究              
二 『警世通言』卷十一 蘇知縣羅衫再合
三 『警世通言』卷三十四 王嬌鸞百年長恨
小 結

第九章 科擧を描く明代短篇白話小説 
『古今小説』『警世通言』『醒世恆言』から
一 『古今小説』の科擧物語
二 『警世通言』の明代を舞臺にした作品の中の科擧
三 『醒世恆言』「張淑兒巧智脱楊生」の明代後期の讀み方
小 結

第十章 白話小説『蘇知縣羅衫再合』から崑曲『白羅衫』
一 白話小説『蘇知縣羅衫再合』
二 王尚書と官僚たち  わき役たちの變容と消滅
三 白話小説から崑曲へ             
小 結

第十一章 『警世通言』と『醒世恆言』について 「三言」成立の問題點
一 『警世通言』の成立
二 『醒世恆言』の成立
おわりに  「三言」成立への展望

あとがき
索  引

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内容説明

【まえがき より】(抜粋)
 本書は三部に分かれ、各部にいくつかの章を立てている。第一部「『古今小説』原刻版の諸問題」では、「三言」に先驅けて成立した『古今小説』の成立状況を理解すべく、その原刻版と出版關係者について考察する。第一章では、『古今小説』諸版本の成立の先後、相互關係を明らかにし、もっとも古く重要視すべき版本を見定める。……第二章では、その序文を書いた綠天館主人について檢討する。從來の研究では、該當者不明とされたり、また明代末期に出版界で活動した馮夢龍とされてきたが、筆者は上海出身の官僚葉有聲であろうと提起する。……第三章では、前章で論じた葉有聲の親類たちが、中國繪畫史に比類なき名をのこす董其昌と淺からぬ關係を持つことを論じる。……
 第二部では、『古今小説』の覆刻版について論じる。……この覆刻版は原刻版と何が違うのか、法政本と内閣本は何が違うのか、それを論じたのが第四章であり、第一部第一章から續く内容である。この覆刻版は、しばらく原刻版と同じ書名のままで、すなわちコピー商品として印行されていたが、ある時に改名して『喩世明言』としてリニューアル出版される。ただ その當初の姿と考えられる四十卷本が現存しておらず、『古今小説』四十卷本がその代役のように扱われ、混同されているのが現状である。果たして、『喩世明言』四十卷本は實際に出版されていたのだろうか。この難題について、『喩世明言』二十四卷本とその刊行者の出版活動を幅廣く見て論じるのが第五章である。……第六章は、北京大學圖書館所藏の『喩世明言』殘本について論じる。…… 
 第三部では『古今小説』『警世通言』『醒世恆言』の収録作品、収録傾向、他ジャンルへの展開、各小
説集の出版の關連性について論じる。第七章と第八章では、各小説集の地域性や地理情報について考察する。第七章では、『警世通言』の蘇州と揚州を舞臺にした物語の特徴について論じてゆく。……第八章では、前章でとりあげた『警世通言』卷十一「蘇知縣羅衫再合」と卷三十四「王嬌鸞百年長恨」に焦點をあてる。……第九章、第十章では知識人や官僚に關わる問題を考察する。……第九章では、『古今小説』『警世通言』『醒世恆言』の中から、主に明代を舞臺にした科擧を描いた作品をとりあげ、各作品と各小説集の特徴を論じる。……第十章は、明代末期に成立する白話小説『蘇知縣羅衫再合』(『警世通言』卷十一)と、それを基に作られた崑曲『羅衫記傳奇』について、その登場人物と物語の變容について考察する。……第十一章では、本書の總括的な考察として、『警世通言』と『醒世恆言』の各版本に焦點を當て、『喩世明言』と合わせて「三言」というシリーズになってゆく過程を探ってゆく。



Publication of Colloquial Novels in Ming Dynasty: Short Story Collection GujinXiaoshuo and San-Yan

 

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