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日本語学から見た和刻本『福恵全書』

―索引と素描―

日本語学から見た和刻本『福恵全書』

◎幕末維新期に版を重ねた訳解の書に秘められた文士の情熱を探る―悉皆調査を旨とした書誌学・国語学的研究

著者 荒尾 禎秀
ジャンル 国語学(言語学)
日本史
日本史 > 近世
出版年月日 2022/02/08
ISBN 9784762936715
判型・ページ数 A5・1120ページ
定価 26,400円(本体24,000円+税)
在庫 在庫あり
 

目次

はじめに

索引・校異編

 第 1 漢字語索引
     凡例・索引  
     検索用漢字表

 第 2 仮名索引
     凡例・索引
  
 第 3 校異表
     凡例     
     校異一覧Ⅰ   
     校異一覧Ⅱ   
     校異一覧Ⅲ


研 究 編

 第 1 章 和刻本『福恵全書』の軌跡
   第1節 はしがき               
   第2節 漢語と左振仮名
   第3節 和刻本『福恵全書』の概要       
   第4節 和刻本『福恵全書』の流布と利用

 第 2 章 和刻本『福恵全書』の書誌・諸本
   第1節 書誌大概
   第2節 諸本と分類
      (1)通行本            
      (2)修訂本        
      〈付〉修訂本諸本一覧
   第3節 通行本成立の過程

 第 3 章 和刻本『福恵全書』と日本語学
   第1節 漢字語
   第2節 訳解の語彙
      (1)語彙の課題・問題のありよう  
      (2)修訂された訳解語    
      (3)「罰」の訳解語
      (4)「科則」の訳解語       
      (5)仮名書き漢語 
      (6)『日本国語大辞典』にない語と「擬似語形」          
      (7)俗語・訛語・俚言
      (8)注目される語
   第3節 訳解語の表記
      (1)濁音仮名表記にみる問題点   
      (2)特異な濁音仮名表記語  
      (3)修訂と清濁問題
      (4)仮名遣いの問題        
      (5)符号について
   第4節 訳解語の語法と文体
      (1)助詞と口語的表現       
      (2)音便と文体       
      (3)待遇表現と文体
      〈付〉研究編第3章語彙一覧

参考文献
あとがき

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内容説明

【はじめにより】(抜粋)

 和刻本『福恵全書』は日本の近代化に裨益するところ少なくないと考えられるが、この和刻本そのものの研究は僅少で、日本語学の立場からはこれを資料として使った研究も限定的である。その事情はこの和刻本についての基礎的研究が無く、その価値が未だ定位されていないこと、大部であり利用上の検索の便も十分でないことなどが考えられる。そこで本書は、和刻本『福恵全書』が近代日本語の研究に有益な資料であることを明らかにし、またその和刻本についての基礎的な書誌的研究と諸本調査の成果、および語句検索を容易にする索引を公にすることを目的とする。もって、和刻本『福恵全書』が日本の近代化に果たした役割についての日本語学および日本近代法制史の研究、さらには関係する中国近世地方社会史や翻訳論等の研究に資せんとする。
 本書は「索引・校異編」と「研究編」とから成る。「索引・校異編」の構成は次のようである。索引は「漢字語」の存否の確認と所在の検索のための「漢字語索引」と、「訳解」からの所在検索のための「仮名索引」との二つからなる。「漢字語索引」利用の便として、そこに使用されている全漢字を収めた「検索用漢字表」を付す。また、「通行本」と「修訂本」の「訳解」の異同は和刻本『福恵全書』についての種々の情報を提供するので、「校異表」を作成し索引に併せて掲載した。「研究編」の構成は次のようである。第1章は中国版および和刻本の『福恵全書』の受容史、第2章は和刻本の書誌、そして第3章は日本語学の立場から見ての興味ある諸問題を記述した。このうち第3章では語彙、表記、語法について特徴的な事象を取り上げて和刻本『福恵全書』が日本語学の資料として有益な書物であることを概説的に示しえたと考えるが、具体的な論考は今後に俟つところである。

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