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隋唐帝国形成期における軍事と外交 汲古叢書165

隋唐帝国形成期における軍事と外交 汲古叢書165

◎北朝隋唐王朝の本質を「胡族性」と「国際性」の視点から解明する!

著者 平田 陽一郎
ジャンル 東洋史(アジア)
東洋史(アジア) > 魏晋隋唐
シリーズ 汲古叢書
出版年月日 2021/01/29
ISBN 9784762960642
判型・ページ数 A5・630ページ
定価 16,500円(本体15,000円+税)
在庫 在庫あり
 

目次


序 説
 一 北朝隋唐史の理解をめぐる論点  
 二 先行研究の成果と残された課題  
 三 本書の構想

第Ⅰ部 華北における王朝交代と北方情勢

 第一章 突厥他鉢可汗の即位と高紹義亡命政権
  第一節 突厥の北斉高紹義擁立
  第二節 突厥他鉢可汗の実像
   1先行研究の整理          
   2薛宗正説の再検討 
   3北斉文宣帝と他鉢可汗       
   4突厥大可汗位の継承関係について
  第三節 他鉢可汗の北斉復興路線

 第二章 周隋革命と突厥情勢――北周千金公主の降嫁を中心に――
  第一節 楊堅の登場と千金公主降嫁
   1周隋革命=宮廷革命という理解をめぐって
   2周隋革命の日程          
   3革命中の降嫁強行と降嫁先
  第二節 摂図の大可汗即位と千金公主の影響力   
  第三節 突厥・隋の全面戦争とその帰趨
  第四節 隋唐時代の対突厥関係と国際秩序に関する若干の展望

 第三章 柔然・突厥交代劇と柔然可汗一族のその後
         ――郁久閭可婆頭の事績を中心に――
  第一節 「隋・郁久閭可婆頭墓誌」誌文訳注
  第二節 墓誌文の構成とその内容
  第三節 墓主の得た数々の官職――大賢真を中心に――
   1東魏時代の覇府の侍衛について    
   2東魏・北斉における「庫真」について
   3北斉における様々な「真」の存在

 第四章 営州の高宝寧政権崩壊から高句麗遠征へ
         ――趙世摸郷兵集団の事例から――
  第一節 「隋・趙世摸墓誌」誌文訳注
  第二節 墓誌文の構成と墓主の生きた時代     
  第三節 高宝寧の反乱と趙世摸帰降の経緯
  第四節 趙世摸の活動から見た隋代兵制の展開
  第五節 営州の趙氏と韓氏
         ――東北辺境の在地豪族と隋朝との関わり――

第Ⅱ部 北朝後期の軍制の展開と兵士の実態

 第一章 北朝末期の「部曲」について
  第一節 部曲の意味変化の過程に関する先学の見解 
  第二節 部曲の実例について
  第三節 建徳六年詔について

 第二章 西魏・北周時代の「防」について
  第一節 西魏・北周の鎮と戍  
   1西魏・北周の鎮 
   2西魏・北周の戍
  第二節 西魏・北周の防    
   1防の呼称の由来 
   2防の官員と統括機構 
   3防の兵力
  第三節 軍鎮から軍府へ

 第三章 隋代の鎮戍制度について
  第一節 隋代の鎮戍一覧        
  第二節 鎮戍とその他の軍事拠点
  第三節 鎮戍の分布と統轄       
  第四節 鎮戍の施設・兵力・資給

 第四章 隋代宿衛武官職に関する一考察
        ――長孫汪の官歴を中心に――
  第一節 「隋・長孫汪墓誌」誌文訳注
  第二節 墓誌文の構成と墓主の生きた時代     
  第三節 長孫汪の官歴
  第四節 宿衛武官職の勤務形態
        ――煬帝の評価をめぐる墓誌の省筆・曲筆の一事例――

 第五章 隋煬帝期府兵制の再検討
        ――総管制廃止と都尉官設置について――
  第一節 総管制の廃止         
  第二節 都尉官設置をめぐる状況の再検討
  第三節 都尉官の役割について     
  第四節 煬帝期の府兵制展開史上における位置について

第Ⅲ部 遊牧軍制として見た「府兵制」の発展

 第一章 唐代兵制=府兵制の概念成立をめぐって
        ――唐・李繁『鄴侯家伝』の史料的性格と位置づけを中心に――
  第一節 史料における「府兵」の用例
  第二節 唐代兵制=府兵制という言葉の用法と概念成立の起源
  第三節 『家伝』と他の史料との関係  
  第四節 宋代における唐代兵制=府兵制という概念の展開

 第二章 西魏・北周の二十四軍と「府兵制」
  第一節 二十四軍と郷兵        
  第二節 二十四軍=鮮卑部落兵制の理解をめぐって
  第三節 開皇十年詔と「部族解散」

 第三章 北朝末期の「親信」について
        ――「隋・于寛墓誌」の分析を中心に――
  第一節 「隋・于寛墓誌」誌文訳注
  第二節 墓誌文の構成と墓主の官歴
        ――親信からの入官コースの存在――
  第三節 北朝末期の「親信」一覧
  第四節 親信関連史料の補遺状況と親信の性格についての補足的考察

第Ⅳ部 隋唐帝国の支配体制と軍事制度

 第一章 隋代の「給使」について
  第一節 江都の乱と煬帝の最期     
  第二節 給使とその指揮官
  第三節 給使の由来と性格       
  第四節 後日譚

 第二章 皇帝と奴官
       ――唐代皇帝親衛兵組織における人的結合の一側面――
  第一節 「禁軍」という言葉の用法と概念の成立について
  第二節 皇帝親衛兵組織の沿革
  第三節 禁苑(皇室庭園)に屯す者達

 第三章 唐代の皇帝陵と折衝府――高祖献陵の警備体制を中心に――
  第一節 「唐・斉士員造像銘」銘文訳注
  第二節 本造像銘文の構成と造像主の家系と官歴   
  第三節 斉士員と高祖李淵との関係
  第四節 唐初の謁陵儀礼と帝陵警護に関わった人々

 第四章 唐代の吐谷渾部落と折衝府
        ――「唐・慕容曦輪墓誌」の分析を中心に――
  第一節 「唐・慕容曦輪墓誌」誌文訳注
  第二節 墓誌文の構成と墓主の生きた時代
  第三節 墓主の家系と可汗位の継承    
  第四節 羈縻州と羈縻州軍府の一事例

 第五章 隋唐時代の「府兵制」と軍府
  第一節 北朝隋唐期の軍事制度研究上の留意点
  第二節 隋唐時代の軍府の多様性
        ――ミクロな視点から見たモザイク的展開――
   1軍府の立地条件と駐屯する兵士達   
   2軍府の役割の多様性 
   3地方軍府と唐朝中央との関係
  第三節 隋唐時代の軍府の時代性
        ――マクロな視点から見た同心円的展開――
   1変化と継続、二つの側面       
   2羈縻州軍府の活動

ま と め           
あとがき
英文目次
中文目次
中文摘要
索 引
図表一覧

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内容説明

魏晋南北朝・隋唐時代の分裂と統一の原動力となったのは、中国の外からもたらされた胡族のパワーであった。ただし、ここで一つ注意しておかなければならないことは、中国の内と外、胡と漢の間には、強弱の変化はあっても常に力学が働いており、しかもそれは多様なベクトルを持った双方向的なものであるということである。したがって、この時代における政治・経済・社会をはじめ、いずれの問題について検討する場合であっても、対外関係・国際関係の動向には常に注意を払っておかなければならないのである。(「序説」本書の構想より)



Military and Diplomacy during the Formative Period of the Sui and Tang Empires

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