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中国古代の法・政・俗

中国古代の法・政・俗

◎工藤元男先生退休を記念し、日中の研究者・門下生が捧げる!

著者 工藤元男先生退休記念論集編集委員会
ジャンル 東洋史(アジア)
東洋史(アジア) > 総記・論集
東洋史(アジア) > 殷周秦漢
東洋史(アジア) > 魏晋隋唐
出版年月日 2019/12/24
ISBN 9784762966545
判型・ページ数 A5・498ページ
定価 11,000円(本体10,000円+税)
在庫 在庫あり
 

目次

工藤元男先生 研究・教育業績一覧

序 (工藤元男先生退休記念論集編集委員会)


第一篇 先秦時代篇


禹が運んだ道 (工藤 元男)
 
春秋戦国時代の墓制の一考察――金藤村二五一号墓を例として―― (小澤 正人)

『交州外域記』に記される安陽王の事跡について (盧 丁(森 和訳))

春秋楚の婚姻記事における婚姻規範と女性 (平林 美理)

『左伝』における礼による予言 (劉  胤汝)

清華簡「湯在啻門」に見える「五」の観念について (曹 峰(小林文治 訳))


第二篇 秦漢時代篇


秦における盗賊捕縛と民の臨時徴発 (小林 文治)

『里耶秦簡〔貳〕』九―四五〇号に見る稟食制度 (陳 偉(川村 潮訳))

前漢楚王国の虚像と実像
     ――『史記』楚元王世家と『漢書』楚元王伝の比較を通じて―― (楯身 智志)

馬王堆漢墓帛書『刑徳』篇の刑徳小遊と上朔 (小倉  聖)

『史記』日者列伝の亡佚と補作について (森 和)

後漢における郎官の再編 (渡邉 将智)
  

第三篇 魏晉以後篇


『隷続』魏三体石経左伝遺字考 (廣瀬 薫雄)

三国呉の孫権による南方政策の展開 (伊藤 光成)

孫呉政権下の嶺南情勢に関する一考察
     ――「ポスト士燮」なき嶺南情勢と趙嫗の扱いを中心に―― (川手 翔生)

魏晉南朝における死体への制裁と「故事」 (水間 大輔)

南朝劉宋時代における鋳銭とその背景 (柿沼 陽平)

土司統治の変遷から見る高坡苗族の伝統文化
      ――中曹長官司長官謝氏を中心に―― (張 勝蘭)


あとがき
執筆者一覧

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内容説明

【「序」より】(抜粋)

本書『中国古代の法・政・俗』は恩師工藤元男先生が二〇二〇年三月をもって早稲田大学文学学術院をご退休なされるのを機に、先生のこれまでのご研究を記念し、また薫陶を享けた者たちが僅かなりともそのご学恩に報いるべく編んだ論文集である。したがって、執筆者は一九九七年四月に工藤研究室が始まって以来、先生にご指導いただいたことのある門下生(現役の大学院生も含む)が中心となっている。一方、先生は二〇〇〇年度に学内に長江流域文化研究所を立ち上げられてから今まで、所長として四川大学芸術学院や武漢大学簡帛研究中心と連携して日中共同研究を進めてこられたが、その共同研究に関わられた先生方からもご寄稿いただくことができた。さらに、先生のご著書『睡虎地秦簡よりみた秦代の国家と社会』は後に中文翻訳・刊行されたが(『睡虎地秦簡所見秦代国家与社会』上海古籍出版社、二〇一八年九月)、そこに関わられた先生方からも玉稿を賜った。結果、本書は先生の玉稿も含めて十八篇の論文を収録し、各論文で扱われる時代は新石器時代から明清・現代にまで及び、分野も多岐にわたる論文集となった。
  本書に収録された論文が、時代・分野においてかくも広範囲に及ぶ内容となったのは、とりもなおさず先生のご研究・ご教育の成果の一端であろう。周知のように、先生のご研究は、睡虎地秦簡を始めとする出土文字資料をもとに“中国古代の法と習俗”を解き明かさんとするものであるが、そのうち法制史研究は武漢大学との戦国~秦漢時代の簡牘資料の共同研究に、「日書」研究(特に禹についての神話・伝承へのご探究)は四川大学との羌族や白馬チベット族の民族調査および宝墩遺跡など新石器時代の城址遺跡の考古調査へも繋がっていった。このようにご研究を展開されてきた先生の下であればこそ、その門下生は時代や分野にとらわれることなく、それぞれの興味関心に忠実に学び、かつ研究し得たのであり、本書の多彩さもその現れとご理解いただければ幸いである。
  ところが、各論文のテーマが多様であることは、書名と構成をどうするかで編集委員の頭を大いに悩ませることにもなった。二〇一九年五月、先生に編集状況をご報告しに伺ったときにご相談し、いくつもの案が浮かんでは消えたが、先生のご研究を象徴する「法」と「習俗」に「政治」という分野を加えて『中国古代の法・政・俗』と題することで、十八篇の論文全てのテーマを包括し得ると見做し、構成はおおよそ時代順に先秦・秦漢・魏晉以後に三分し、それぞれ六篇ずつ配することになった。
  本書は、比較的若い研究者の論文を多く収録しているが、これも『早稲田大学長江流域文化研究所年報』など、いつも門下生の成果を発表する場をつくることに気を遣われていた先生のご退休を記念する論集ならではと考えている。その意味では、本書は二十数年にわたる工藤研究室の在り方そのものとも言えるだろう。このような本書をもって先生の今後益々のご活躍を祈念し、序に替えたい。

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