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読本論考

読本論考

◎近世小説の代表的ジャンルである「読本」の特質を俯瞰し、明らかにする!

著者 田中 則雄
ジャンル 日本古典(文学) > 近世文学
日本古典(文学) > 近世文学 > 小説
出版年月日 2019/06/27
ISBN 9784762936401
判型・ページ数 A5・542ページ
定価 14,300円(本体13,000円+税)
在庫 在庫あり
 

目次

第一部 初期読本の成立

 第一章 近世初期の教訓意識と宋学
 第二章 「載道」と「人情」の文学説――初期読本成立の基底――  
 第三章 都賀庭鐘の読本と寓意――「義」「人情」をめぐって――
 第四章 上田秋成と当代思潮――不遇認識と学問観の背景――
 第五章 上田秋成における小説と詩歌


第二部 読本周辺の諸問題

 第一章 悪漢と英雄――椿園読本が求めたもの――
 第二章 水滸伝と白話小説家たち
 第三章 増穂残口の誠の説――その文学史との接点――
 第四章 仏教長編説話と読本         
 第五章 文学史の中の大江文坡
 第六章 大江文坡における思想と文芸


第三部 後期読本の表現様式

 第一章 因果応報――長編小説に内在する理念――
 第二章 後期上方読本における長編構成の方法
 第三章 読本における上方風とは何か     
 第四章 浄瑠璃の読本化に見る江戸風・上方風
 第五章 『雨月物語』と後期上方読本     
 第六章 後期読本作者小枝繁の位置
 第七章 読本における尼子史伝


第四部 読本と実録

 第一章 栗杖亭鬼卵の読本と実録       
 第二章 文政期読本と実録
 第三章 浜田藩江戸屋敷女敵討の実録と読本  
 第四章 松江藩と実録
 第五章 出雲国仁多郡木地谷敵討の実録
 第六章 地方における実録の生成――因幡・石見の事例に即して――

初出一覧
あとがき
索 引(人名・書名)

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内容説明

   本書は、初期読本の成立、後期読本への展開、さらには実録が読本に及ぼした影響などについて探究することにより、読本という近世小説ジャンルの特質を解明しようとするものである。
   第一部では、都賀庭鐘・上田秋成の初期読本の成立に関して、儒学思想など近世の思想界における諸問題と関連付けて論じ、第二部では、増穂残口の神道思想、大江文坡の道教・仏教思想、近世中期における中国白話小説の流行など、読本と密接に関係する事柄を取り上げる。第三部では、後期読本に関して、山東京伝・曲亭馬琴のほか、小枝繁・栗杖亭鬼卵などの作者も挙げながら、長編小説としての読本の独自の表現様式について考察する。第四部では、実録に関して、実在事件を元に生成し生長する様、読本へと摂取されていく様について、具体例に即して跡付ける。

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