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瀕海之都

―宋代海港都市研究

瀕海之都

◎海港都市明州城の都市空間を復元し、その特質を探ると共に貿易・外交も含め全体像を明らかにする!

著者 山崎 覚士
ジャンル 東洋史(アジア)
東洋史(アジア) > 宋元
出版年月日 2019/04/25
ISBN 9784762966293
判型・ページ数 B5・276ページ
定価 9,900円(本体9,000円+税)
在庫 在庫あり
 

目次

導  言

第一章 宋代明州城の復元――都市空間と楼店務地

 第一節 『開慶四明續志』巻七「樓店務地」条注釈
 第二節 楼店務地と都市空間
     (a)紹興年間楼店務地の特徴
     (b)嘉定十三年・紹定元年の大火
     (c)各廂の特徴
     (d)救済施設と都市空間
 第三節 軍営と都市空間(a)軍営の立地

第二章 宋代都市の下層民とその分布

 第一節 賑済と下層民  
 第二節 都市人口構成と下層民  
 第三節 都市における下層民の分布

第三章 貿易と都市――宋代市舶司と明州

 第一節 漢人海商の出国 
 第二節 蕃漢海商の入国・課税
     (a)入国
     (b)抽解・博買
     (c)転売
 第三節 綱運及び出売
     (a)綱運
     (b)出売

第四章 宋代両浙地域における市舶司行政

 第一節 両浙市舶司から民間海商への文書発給
     (a)編勅に見える公憑発給規定
     (b)崇寧四年李充公憑
 第二節 両浙市舶司と関係所司との文書往来
     (a)市舶司間の文書往来
     (b)両浙市舶司――沿海制置司間の文書往来
 第三節 両浙市舶司と中央戸部との財政文書関係

第五章 書簡から見た宋代明州対日外交

 第一節 唐宋時代の書簡と外交
     (a)国書
     (b)牒状
     (c)書状
 第二節 宋代明州の対日外交   
 第三節 外交文書より見た宋代の外交
     (a)明州の対日外交
     (b)明州対日外交の位置づけ

第六章 宋代明州と東アジア海域世界――外交と朝貢

 第一節 宋代明州における牒状と外交
     (a)対高麗牒状外交
     (b)対日本牒状外交
 第二節 宋代明州における国書と外交
 第三節 宋代外交文書と東アジア海域世界
     (a)外交文書より見た東アジア海域世界の重層性
     (b)宋代東アジア海域世界の外交的特徴

第七章 宋代都市の税と役

 第一節 坊郭と坊郭戸   
 第二節 都市民と両税   
 第三節 都市民と職役
 第四節 宋代都市の固有税の一 ――楼店務銭     
 おわりに――宋代都市民と専制国家
 
第八章 唐五代都市における毬場(鞠場)の社会的機能

 第一節 毬場概観
     (a)撃毬について
     (b)毬場について
 第二節 毬場の機能
     (a)宴会の場
     (b)処刑の場
     (c)宣言・演説の場
 第三節 毬場の歴史的意義

附章 海商とその妻―― 十一世紀中国の沿海地域と東アジア海域貿易

 第一節 「敕封魏國夫人施氏節行碑」について
 第二節 海商周良史と妻施氏
     (a)夫周良史、妻施氏
     (b)母施氏

結  言

後 記
索 引

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内容説明

【導言より】(抜粋)

 宋代明州の代表的研究として、斯波義信氏の『宋代江南経済史の研究』(汲古書院、二〇〇一年)が挙げられる。本書は江南諸都市を経済史的に解剖し、諸都市を取り巻く後背地などの経済領域なども考察対象とし、時代も通史的に扱われており、都市研究の金字塔である。明州(寧波)に関しては、明州城を中心とする地域空間の経済統合を宋代から十九世紀にかけて分析し、また清末の明州城内を復元した。しかしながら、宋代明州城の都市空間の復元はされておらず、その空間分析もまだまだ進めることが可能である。また明州城は海外国との貿易・外交の玄関口として機能したが、その点の考察も課題として残っている。
  二〇〇五年度から二〇〇九年度までの五年間、科学研究費による特定領域研究「東アジアの海域交流と日本伝統文化の形成――寧波を焦点とする学際的創生――」が執り行われた。この研究は、寧波に焦点を当てて十世紀から十九世紀にいたる東アジア海域の様々な交流の諸相を明らかにし、日本の伝統文化形成を考察しようとするものであり、歴史学のみならず、自然科学など様々な学問分野の研究者が内外問わず参画し、膨大な研究成果を生み出した。……にんプロがまさしく寧波に焦点を当てているので、寧波にまつわる研究が多く残されることになったが、宋代海港都市明州(寧波)の都市空間の復元・解剖、人口構成といった研究はなされなかった。また明州に焦点を当てた貿易のあり方や都市構造との関連、くわえて明州を通じた外交交渉といった課題は、にんプロの末席に参加させていただき、かつその余波で研究を進めてきた著者の課題でもあった。本書はその学恩に対して、ほんのわずかであるが報いんとするものである。

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