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西夏建国史研究

西夏建国史研究

◎独自の視点でタングート民族の動向を追い、名族拓抜李氏の西夏建国までの歴史をまとめる

著者 岩﨑 力
ジャンル 東洋史(アジア)
東洋史(アジア) > 魏晋隋唐
東洋史(アジア) > 宋元
シリーズ 汲古叢書
出版年月日 2018/12/19
ISBN 9784762960529
判型・ページ数 A5・852ページ
定価 19,800円(本体18,000円+税)
在庫 在庫あり
 

目次

序文


第一部 建国前史の研究

 第一章 隋唐時代のタングートについて
  一 宕昌と初期タングート諸大姓
  二 唐のタングート覊縻政策
  三 八世紀タングート大姓の実態と羈縻都督府、州
  四 九世紀拓抜平夏部と河西党項の実態
  五 九世紀周辺諸民族の動向とタングートの擾乱
  六 吐蕃王国の崩壊とタングート諸部族
  七 宣宗朝のタングート対策

 第二章 夏州定難軍節度使の建置と前後の政情
  一 沙陀部李克用の抬頭
  二 拓抜思恭の軌跡
  三 定難軍拓抜平夏部と河西タングート

 第三章 唐最晩期のタングートの動向
  一 拓抜李氏の鄜延路進出
  二 李茂貞追討問題と河西タングートの帰趨
  三 拓抜李氏勢力の消長
  四 再び河西タングートについて

 第四章 五代のタングートについて
  一 夏州定難軍節度使の復興
  二 タングート系節度使の輩出
  三 野利氏と河西タングートの動向
  四 五代後半の夏州定難軍節度使

 第五章 夏州定難軍節度使の終焉と豊州蔵才族の抬頭
  一 宋初のタングート諸部族情勢        
  二 豊州蔵才族の勃興
  三 定難軍節度使の終局


第二部 李継遷の建国運動始末

 第一章 李継遷の登場
  一 李継遷の崛起               
  二 綏州獲得作戦の失敗
  三 大姓野利氏との結合

 第二章 李継遷の外交戦略
  一 遼との結合                
  二 宋の定難軍節度使の再置と李継遷の賜姓      
  三 李継捧の遼内附事件と青白塩問題

 第三章 李継遷の苦闘
  一 夏州城占領作戦の失敗            
  二 第一次休戦協定と張浦の抑留
  三 鄭文宝の西北辺対策             
  四 霊州攻防戦と宋の五路進攻作戦

 第四章 李継遷の領域経営と北部河西タングート諸部族の帰趨
  一 第二次休戦協定の締結              
  二 遼の南伐便乗作戦の展開
  三 北部河西タングート諸部族をめぐる三勢力の角逐

 第五章 李継遷の憑陵と挫折
  一 霊州攻略戦の再開             
  二 霊州攻略の達成
  三 大攻勢の展開               
  四 建国運動の光と影 
  五 李継遷の見はてぬ夢


第三部 西夏の建国

 第一章 李徳明の選択
  一 条約交渉の開始と宋の蕃部切り崩し策    
  二 潘羅支の暗殺
  三 条約交渉の曲折              
  四 講和条約の締結
  五 李徳明の対宋・対遼外交          
  六 交易の実態と宋の対応 
  七 李徳明の西方経営             
  八 李徳明の選択

 第二章 李元昊の西夏建国
  一 李徳明の死亡と李元昊の政権獲得の謎    
  二 対宗哥族大戦争の決行
  三 粛清事件の続発              
  四 建国の達成
  五 対宋戦争の展開と目的           
  六 新条約の締結
  七 最後の粛清事件と李元昊専制政治の結末

総括

あとがき
索引

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内容説明

【序文より】

宋代の各分野の研究はまさに汗牛充棟の観を呈しているのに比べ、その宋に有形、無形の影響を与えたであろうタングート民族や西夏、そして河西チベット族の研究に至っては余りにも遅れていることに気づいた。中嶋、榎両氏の研究に導かれ、筆者はまずは河西チベット族の系統的な解明から研究を始めることにした。
 ……河西チベット族の政権を研究する過程で、当然のこととして勝利者であるタングート政権の強さの秘密にも関心が向くようになってきた。河西チベット族を圧倒しただけではなく、北宋を強引に交渉の場に引きずり出して巨額の歳賜を約束させることを可能にした強力な軍事力がどのようにして形成されたのか。李継遷、李徳明、そして李元昊が掌握した軍事力とは、取りも直さず主にタングート諸部族の兵力を指していることはいうまでもなかろう。つまり拓抜李氏政権は、河西一円に蟠踞していた多数のタングート諸部族と歴史的にどのような関係を経てきたのか。換言すれば多くのタングート諸部族はどのような歴史的変遷を辿って西夏建国に収斂されていったのであろうか、また、その軍事力を提供した有力部族と西夏王権とはどのような関係にあったのか、などの解明に興味が向けられるようになった。

 ……そこで筆者は河西チベット族の研究を一時棚上げにして、タングート民族がどのような変遷を経て自前の国家、西夏を建国したのかを先に解明することにした。

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