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中国古代国家の起源と王権の形成  新刊

中国古代国家の起源と王権の形成

◎中国古代史研究の第一人者 王震中先生の名著 邦訳なる!

著者 王 震中
柿沼 陽平
ジャンル 東洋史(アジア)
東洋史(アジア) > 殷周秦漢
出版年月日 2018/07/30
ISBN 9784762966194
判型・ページ数 A5・830ページ
定価 本体20,000円+税
在庫 在庫あり
 

目次

【主要目次】
序 文(李学勤)
序 論 国家形成にかんする理論的問題
第一節 国家の概念と定義
第二節 古代国家の形成の指標
第三節 「三次社会大分業論」と中国史の実態  
第四節 「軍事民主制」・「部族連合」の得失
第五節 首長制理論の貢献と限界        
第六節 社会分層理論の貢献と不足
  第七節 文明と国家の起源の道程としての「聚落三形態進化」説
第八節 「邦国―王国―帝国」説/第九節 余 論
第一章 平等な農耕聚落社会
第一節 新石器時代初期――農業の起源と農耕聚落の出現
  第二節 新石器時代中期の平等な農耕聚落社会
  第三節 新石器時代中晩期農耕聚落の平等性と凝聚力
第二章 不平等な中心聚落・原始宗邑・首長制社会
第一節 雛型段階の中心聚落と社会における初歩的な不平等
  第二節 中心聚落形態時期の諸々の社会現象    
第三節 中心聚落時期の殿堂と家族単位の家屋
  第四節 蒙城尉遅寺の環濠聚落の社会形態
  第五節 中心聚落時期の城邑――澧県城頭山と鄭州西山
  第六節 中心聚落時期の原始宗教の聖地――神廟と大型祭壇
  第七節 中心聚落・原始宗邑・首長制社会の一般的特徴
第三章 階級成立の三つの道
第一節 階級成立の広範な基礎と主要な道のり――父権家族
  第二節 戦争捕虜から転化してくる奴隷階級    
第三節 社会の職務よりうまれる統治階級
第四章 先史時代における権力システムの進化
第一節 権力の空間性と宗教の社会性       
第二節 先史時代の権力にたいする戦争の影響
  第三節 権力の集中性と社会的役割
第五章 中国の初期国家――龍山時代の都邑邦国
第一節 龍山時代の都城と国家          
第二節 陶寺の都邑と邦国――事例研究①   第三節 古城寨の都邑と邦国――事例研究②
  第四節 余杭莫角山都邑邦国と良渚文明の特色――事例研究③
第六章 部族国家から「民族の国家」と華夏民族の形成へ
第一節 民族と部族の概念と華夏民族の自覚意識  
第二節 五帝時代の部族国家と族邦連盟
第七章 夏族の興起と夏文化の探索
第一節 夏族の興起             第二節 夏文化の探索   
第三節 王都としての二里頭遺跡
第八章 夏代の国家と王権
第一節 夏王朝の国家メカニズムと王権      
第二節 夏代の複合制国家の構造と王権
第九章 先商邦国の起源
第一節 商族の起源と遷徙
第二節 先商初期国家――邦国の出現
第十章 商代の国家と王権
第一節 商王朝の樹立              
第二節 商王朝の「複合制」国家構造
  第三節 商代の王権とその統治方式
第四節 商代国家構造により決定づけられる商王の統治方式
終 章/後 記/日本語版のあとがき/訳者あとがき/索 引

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内容説明

【本書より】(抜粋)

本書は、王震中『中国古代国家的起源与王権的形成』(中国社会科学出版社、二〇一三年)の全訳である。
序章 国家の定義には従来諸説あり、欧米では一般に、古代国家の特徴として三点が挙げられる。①強制的な権力をもつ、②すでに階級や階層分化がある、③民が血縁枠を超えて地縁により結びついている。だが中国古代国家のばあい、なお血縁の重要性が高く、③は曖昧である。また現代国家は領土をもつが、古代国家には辺境があるのみである。そこで中国古代の例もふまえると、古代国家は「一定の領土的範囲と独立の主権をもち、階級・階層・等級のたぐいの社会分層があり、合法性をそなえ、壟断的特徴を帯び、全社会に君臨する強制的権力をもった政権組織と社会体系」と定義される。かかる古代国家形成への道にも諸説ある。筆者は古代国家の成立要件として、階級の形成と、社会に君臨する公的権力の形成の二点を挙げる。この二点は考古学的に検討可能な指標である。なお国家成立前後の時期にかんして従来は、軍事民主制・部落連盟・首長制・社会分層などの術語による説明が試みられてきたが、どれも中国古代史の実態をふまえた議論でなく、適宜概念を彫琢しなおす必要がある。筆者自身はその点を念頭に、国家成立前後の変化過程を以下の三段階に分けて説明すべきと考える。
①ほぼ平等な農耕聚落期(紀元前一万年から前四〇〇〇年頃)。
②初歩的な不平等をふくむ中心聚落形態の段階(前四〇〇〇年から前三〇〇〇年頃。仰韶中後期、紅山後期、大汶口中後期、屈家嶺前期、崧沢・良渚文化初期など)。
③都邑邦国の段階(前三〇〇〇年から前二〇〇〇年頃。龍山初期から晩期の国家形成段階。
代表的都邑遺跡には山西省の陶寺があり、その周辺は邦国連盟を締結する)。そののち夏商周時代になると、特定の邦国の盟主を「天下共主」や「国上之国」とする複合制国家が形成される。このときにはじめて全社会に君臨する強制的権力システムがうまれ、王は、みずからの王邦のみならず、周辺の属邦をも支配しはじめる。それは③の都邑邦国(邦国連盟)段階とも、秦漢時代以後の「帝国」とも異なる。「帝国」の各官吏が皇帝と中央に直接任免されるのに対し、複合制国家内の封君の封地や貴族の采邑は、王とのあいだに上下関係はあるものの、必ずしも行政的管理関係にはない。かくて王国は「天下共主」の地位を得、王位は世襲され、王権の正統意識と正統観が形成される。次章以下ではその具体的過程を個別に論ずる。(訳者あとがき:柿沼陽平)

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