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戦争と華僑 続編  新刊

―中国国民政府・汪精衛政権の華僑行政と南洋・北米―

戦争と華僑 続編

◎抗日戦争期の「国民政府」・「傀儡政権」と華僑それぞれを相互分析し、華僑史を構築する!

著者 菊池一隆
ジャンル 東洋史(アジア)
東洋史(アジア) > 近現代
シリーズ 汲古叢書
出版年月日 2018/05/17
ISBN 9784762960512
判型・ページ数 A5・544ページ
定価 本体13,000円+税
在庫 在庫あり
 

目次

序 論

 第一部 抗戦前・南京国民政府時期

第一章 南京国民政府の華僑行政と僑務委員会――一九三二年四月から三七年六月まで――
 僑務委員会改組・成立後の組織と活動
 華僑献金の動向と華僑の重要各事変への対応
 僑務委員会と華僑団体管理
 僑務委員会の華僑教育と対外宣伝

第二章 世界各地における華僑排斥と僑務委員会の華僑救済
    ――シャム、英領マラヤ、「蘭印」、メキシコ、ソ連など――
 世界恐慌下における帰国華僑の増大
 世界各地の排華条例
 アジアにおける華僑排斥状況
 南北アメリカ、オセアニア、およびソ連の華僑排斥状況
 南京国民政府の華僑救済政策と僑務委員会

 第二部 抗戦期・重慶国民政府時期

第三章 重慶国民政府の戦時華僑行政と僑務委員会――一九三七年七月から四五年八月まで――
 盧溝橋事件後における僑務委員会の動向と基本方針
 重慶国民政府と華僑の中国投資・華僑為替・華僑「労軍」
 世界各地の華僑排斥と帰国華僑/帰国華僑の保護と救済
 僑務委員会と戦時華僑教育
 重慶国民政府と汪精衛問題

第四章 日本軍占領前後までの南洋華僑の動態と抗日活動――英領マラヤ、シンガポールを中心に――     海外第三勢力としての華僑
 南洋華僑の抗日献金と義勇軍
 南洋華僑の抗日活動と対日ボイコット
 南洋華僑の日本・傀儡政権との闘争
 英国植民地政府との矛盾と援英運動
 南洋華僑の労働争議の実態と特徴
 僑務委員会と戦時華僑教育

第五章 アメリカ華僑の動態と抗日活動――サンフランシスコ・ニューヨークを中心に――
 盧溝橋事件の勃発とアメリカ華僑
 サンフランシスコ華僑の抗日動態
 ニューヨーク華僑の抗日動態
 太平洋戦争の勃発とアメリカ華僑
 アメリカにおける華僑学校教育

第六章 ハワイ華僑の動態と抗日活動
 一九三〇年代のハワイ華僑
 西安事変とハワイ華僑
 中国抗日戦争の勃発とハワイ華僑
 太平洋戦争とハワイ華僑の動態
 ハワイの華僑華文学校

第七章 カナダ華僑の動態と抗日活動
 盧溝橋事件の勃発とカナダ華僑
 汪精衛への対応と抗日活動の中の紛糾・混乱
 太平洋戦争の勃発とカナダ華僑
 太平洋戦争後期のカナダ華僑と中国の勝利

 第三部 汪精衛・南京傀儡政権と華僑

第八章 汪精衛・南京傀儡政権の華僑行政と「僑務委員会」
 南京汪政権の僑務機構整備と緊縮財政
/南京汪政権と帰国華僑の救済問題
/汪精衛の「和平運動」と帰国訪問華僑の言動
/南京汪政権の重慶非難宣伝と献金/汪精衛「大東亜戦争」支持の論理と孫文「大アジア主義」
/褚民誼の「僑務委員会」委員長兼任と汪精衛の訪日
/南京汪政権の華僑教育

  第九章 中国内の傀儡政権地域における帰国華僑
――シンガポール華僑巨頭胡文虎の言動と関連させて――
   臨時・維新両政権下での反英運動/上海における帰国華僑の実態と動向/広州における帰国華僑の
実態と動向/日本軍政下の香港状況と客家胡文虎の活動/その他の重要地域――汕頭・厦門・金門島
  結 論/後 記/索 引

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内容説明

【序論より(抜粋)】

拙著『戦争と華僑―日本・国民政府公館・傀儡政権・華僑間の政治力学―』(汲古書院、二〇一一年、全四九三頁)を上梓し、函館、横浜、神戸、長崎はもちろん、樺太、沖縄を含む全日本華僑、および日本植民地台湾と朝鮮各華僑の動態、そして日本軍政下の南洋華僑の動態を解明した。本書はこれに続く第二弾であり、蔣介石・南京国民政府、次いで重慶国民政府、さらにその対極にあると見なされてきた南京の汪精衛傀儡政権(以下、南京汪政権と略称)のそれぞれの僑務機構、華僑政策を明らかにする。

そして日本軍占領以前の南洋華僑、また、抗日戦争時期(以下、抗戦期、もしくは戦時期)の北米華僑の抗日・「親日」、「媚日」各動態などを解明するものである。

第一章では、南京国民政府の華僑行政、特に華僑行政機関・僑務委員会を中心に、その組織、活動実態、およびその意義と限界を実証的に論じる。

第二章では、世界経済恐慌下において各国各地域が自国民の就業重視の姿勢を打ち出し、排華条例により世界各地で華僑排斥を実施した。蔣介石・南京国民政府、僑務委員会がこうした事態をいかに認識し、いかなる政策をとり、対処しようとしたのか。南京国民政府の具体的な政策と僑務委員会の役割を解明する。
第三章では、抗戦期における重慶国民政府の戦時華僑政策について、従来華僑献金、中国への投資、日貨ボイコットなどが主に採りあげられ、抗戦における経済的意義が強調されてきた。これらは重要な研究とはいえ、これだけでは歴史を一面的で平板化してしまう危険性がある。そこで、多角的視点から分析する一環として、重慶国民政府の戦時華僑政策を僑務委員会を中心に明らかにしながら、盧溝橋事件、次いで太平洋戦争勃発後、むしろ財政負担となった日本、南洋などからの帰国華僑の実態とその保護政策の意義と限界を解明する。

……第四章では、重慶国民政府と、南洋、特に英領マラヤ、シンガポール各華僑との関連を中心に論じる。華僑の抗戦支援という意義のみならず、重慶国民政府と華僑との矛盾対立、僑務委員会の役割と華僑の不満、華僑内対立と協調、英国植民地政府との矛盾と融合、および民族意識の養成を目的とした華僑教育等の全面的解明をおこなう。

第五章では、抗戦期のアメリカ華僑に切り込みたい。

第六章では、ハワイ華僑が戦時期どのような動態を示し、それはいかなる特色を有すのか。アメリカ大陸の華僑との関係、致公堂の関係、および日系移民とハワイ華僑との関係を重視する。

第七章では、カナダ華僑研究は康有為や孫文との関係から解明が進んだが、一九一〇年、二〇代までで留まっている。本章では①カナダ華僑の中心バンクーバーをとりあげるが、他諸都市での華僑の動向にも気を配る、②現地の華僑のみならず、抗日戦争や中国内などの歴史的動向や背景を常に念頭に置く、③華僑の団結のみならず、華僑内における党派争いを意識的に掘り下げる、④国民党のみならず、南京汪政権、中共、そして致公堂の動向を重視していることなどがあげられよう。……第八章では、沿海・沿江諸都市、特に華僑の出身地である広東、福建両省の主要地域は日本、南京汪政権の統治下に組み込まれた。……南京汪政権の僑務機構、華僑政策に焦点を絞り、その特質、実態を明らかにしながら、歴史的限界のみならず、その意義をも考察する。その際、重慶国民政府との差異だけでなく、共通性も考察する。

第九章では、臨時・維新両政府、とりわけ両政権統合の南京汪政権下、各地域における政治・経済的状況を踏まえながら、帰国華僑などを中心に、その動向と実態などを明らかにする。

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