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静嘉堂文庫蔵『懐風藻箋註』本文と研究  新刊

静嘉堂文庫蔵『懐風藻箋註』本文と研究

◎現存最古の懐風藻注釈書を影印・翻刻し、初公刊――その特徴と成立の背景を明らかにする!

著者 土佐 朋子 編著
ジャンル 日本古典(文学)
日本古典(文学) > 上代万葉
出版年月日 2018/02/07
ISBN 9784762936371
判型・ページ数 A5・404ページ
定価 本体10,500円+税
在庫 在庫あり
 

目次

【主要目次】
まえがき/凡  例
本文篇
解 題 書誌と伝来・作者と成立・構成と形式・本文の性質・注釈の特徴と意義
影 印
翻 刻
研究篇
第一章 『懐風藻箋註』と鈴木真年――新資料『真香雑記』の「今井舎人」――
一、『懐風藻箋註』と「今井舎人」と「鈴木真年」
二、「鈴木真年」の略歴と人物像――自分探しの「系譜学者」――
三、「鈴木真年」のこだわり――依田学海の回想を中心として――
四、系譜学者「鈴木真年」の欲望
五、「今井舎人」と「穂積真香」と「鈴木真年」――新資料『真香雑記』――
第二章 今井舎人と鈴木真年――鈴木真年伝の新資料――
①早稲田大学図書館蔵『真香雑記』 
②『誓詞帳』『門人姓名録』
③天理大学附属天理図書館蔵『大嘗会神饌調度図』
④国立歴史民俗博物館蔵旧侯爵木戸家資料『大江御家 神別 皇別 二冊之内上巻』
第三章 鈴木真年の知的環境
一、鈴木真年の師――平田篤胤・鉄胤と栗原信光――
二、屋代弘賢と知的ネットワーク――考証学の脱領域性がもたらした変容――
三、考証学者としての鈴木真年
第四章 書誌と伝来
一、書 誌
草稿本としての性格1――「故余為箋註」――
草稿本としての性格2――構成と装丁――
二、伝 来
第五章 『懐風藻箋註』と群書類従本『懐風藻』
一、問題の所在
二、群書類従本懐風藻の本文の性格
三、『箋註』と群書類従本懐風藻との本文異同
第六章 『懐風藻箋註』本文の性格
一、群書類従本懐風藻の活用
二、群書類従本懐風藻以外の伝本の活用
三、版本の活用
四、林家系統田中本の活用
第七章 『懐風藻箋註』引用典籍一覧および考証
一、『箋註』の注釈の特徴
二、引用典籍一覧
第八章 『懐風藻』版本書入二種
――河村秀根・慈本書入本の紹介と翻刻――
一、河村秀根書入本と慈本書入本の書誌
二、凡 例
三、河村秀根による天和四年版本への書入翻刻
四、羅渓沙門慈本による寛政五年版本への書入翻刻
五、両書入本における引用書目の傾向
第九章 狩谷棭斎書入『懐風藻』
――川瀬一馬「狩谷棭斎著『懐風藻校注』」修正――
一、川瀬一馬「狩谷棭斎著『懐風藻校注』」の問題点
二、狩谷棭斎書入本について
三、小島成斎書入本について
四、凡 例
五、書入翻刻
初出一覧/あとがき/索  引 (人名・神名索引/書名・文献名索引)

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内容説明

【まえがきより】

本書は、静嘉堂文庫所蔵の今井舎人著『懐風藻箋註』(函五四架七七)について、翻刻と研究を行ったものであり、本文篇と研究篇で構成されている。本文篇には、影印と翻刻とを収め、解題を付した。研究篇は九章構成とした。主として、第一章から第三章は、筆者である今井舎人に関する論考、第四章から第六章は、書誌と伝来および『箋註』における懐風藻本文の性格に関する論考、第七章から第九章は『箋註』の注釈内容に関する論考となっている。『懐風藻箋註』は、元治二年(一八六五)に成立した懐風藻注釈書である。現存している懐風藻注釈書の中では最も古いことになるが、刊行されないまま、筆者の自筆稿本一本が残されていただけであったために、その全貌は必ずしも明らかにされていなかった。最新の懐風藻注釈書である辰巳正明氏の『懐風藻全注釈』では、沖光正氏による「翻刻私家版」に基づいて『箋註』の注釈が引用されている。その引用を通して『箋註』の注釈内容を知ることは可能ではある。しかし、より厳密な解釈や検証を行うためには、研究者自身が『箋註』の記述内容そのものを直接に参看し確認できるようになっていることが必要ではないか。そのように考えて、ここに改めて翻刻を行い、影印および『箋註』に関する論考とあわせて刊行することにした。

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本書は、主に明治以降「系譜学者」として認知されてきた鈴木真年(=今井舎人 1831-1894)が、江戸末期に編纂した『懐風藻箋註』の総合的研究書である。懐風藻のまとまった注釈書は『箋註』以前には見出されておらず、以後も昭和に入るまで著述・刊行されていない。鈴木真年の知的活動と『箋註』執筆の背景には、江戸中期以降に屋代弘賢を中心とする知的ネットワークにより確立された考証学の継承があり、『箋註』の注釈内容も考証学的手法に基づき構築・編集されたものであると考えられる。また『箋註』では、漢詩そのものへの興味関心から漢籍に基づく注釈を試みており、当時の懐風藻受容としては画期的である。本書は、『箋註』本文の性質およびその特異な注釈方法を明らかにするとともに、多くの著作を残し書写活動を行った鈴木真年の人物像にも迫るものである。

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