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江戸幕府法の基礎的研究 全二冊

〔論考篇・史料篇〕

江戸幕府法の基礎的研究

◎幕府法はいかに成立したのか、新出史料の考察から幕府法研究に新たな地平を切り拓く!

著者 高塩 博
ジャンル 日本史
日本史 > 近世
出版年月日 2017/02/27
ISBN 9784762942174
判型・ページ数 A5・1100ページ
定価 24,200円(本体22,000円+税)
在庫 在庫あり
 

目次

〔論考篇〕


 第一部 享保年間の律令研究―「公事方御定書」編纂前史


第一章 荷田春満の律令研究

第二章 江戸時代享保期の明律研究とその影響


 第二部 「公事訴訟取捌」と「律令要略」―「公事方御定書」編纂期の幕府法律書


第一章 「公事訴訟取捌」の成立―「公事方御定書」に並ぶもう一つの幕府制定法
   補論 「地方大意抄」所載記事の解釈をめぐって―著者と著作年代を手がかりに

第二章 「公事方御定書」の編纂途上の法文を載せる法律書

第三章 「律令要略」について―「公事方御定書」編纂期における私の幕府法律書


 第三部 「公事方御定書」の成立―編纂と増補修正の過程


第一章 「公事方御定書」の元文三年草案について―「元文三午年御帳」の伝本紹介

第二章 「公事方御定書」の編纂過程と元文五年草案について

第三章 「公事方御定書」の寛保三年増修とその伝本

第四章 「公事方御定書」の延享元年増修とその伝本


 第四部 「公事方御定書」の法体系と伝本


第一章 「公事方御定書」の法体系と律令法―徳川吉宗に焦点を当てつつ

第二章 「公事方御定書」下巻の伝本と呼称について

第三章 「公事方御定書」管見―流布の端緒および「例書」の成立をめぐって

第四章 町方与力と「公事方御定書」―原胤昭旧蔵の「公裁私記」について

第五章 「公事方御定書」下巻の奇妙な伝本

第六章 丹後国田辺藩の「御仕置仕形之事」について
         ―譜代藩における「公事方御定書」参酌の一事例


あとがき
索 引

〔史料篇〕※著者所蔵史料四点を含む全十点を収める。

全体凡例
一「評定所法規集(仮称)」
  「御評定所御定書」(著者蔵)――論考篇第二部第一章の史料(その一)

二 「評定所御定書」
  「御評定所御定書」(名古屋大学法学図書室蔵)――論考篇第二部第一章の史料(その二)

三 「評定所御定書」から「公事訴訟取捌」へ移行途上の法律書
  「評定所裁許之写」(著者蔵)――論考篇第二部第一章の史料(その三)

四 「公事訴訟取捌」
  「公事取捌記」(国立公文書館内閣文庫蔵)――論考篇第二部第一章の史料(その四)

五 「公事方御定書」の編纂途上の法文を載せる法律書
  「台政評定訣」(香川大学附属図書館神原文庫蔵)――論考篇第二部第二章の史料

六 「公事方御定書」の元文三年草案 「公規矩之書」(著者蔵)――論考篇第三部第一章の史料

七 「公事方御定書」の元文五年草案
  「公事方御定書並窺之上被 仰渡候書付」上下
  (千代田区教育委員会蔵 「寛保律」 収載)――論考篇第三部第二章の史料

八 「公事方御定書」下巻の寛保三年増修本
  「公裁秘録」上下(著者蔵)――論考篇第三部第三章の史料

九 「公事方御定書」下巻の延享元年増修本
  「御当家律」(国立公文書館内閣文庫蔵)――論考篇第三部第四章の史料

十 「公事方御定書」を参酌した丹後国田辺藩の刑罰法規集
  「御仕置仕形之儀ニ付奉伺候書付申上候書付」(香川大学附属図書館神原文庫蔵)
               ――論考篇第四部第六章の史料

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内容説明

【序 言より】(抜粋)

本書は、「公事方御定書」を中心として「公事訴訟取捌」「律令要略」などの江戸幕府法を考察した書である。「公事方御定書」上下巻は幕府の基本法として著名であり、これまでに数々の研究書と研究論文とが公表されてきた。したがって、「公事方御定書」については、ほとんど研究され尽くしたものと考えていた。ところが研究に取りかかってみると、意外にも解明されるべき基礎的な事柄が残されていることに気づいた。それらは、(1)編纂の過程と制定後の増補修正の過程、(2)上下巻で構成される理由や「例書」「御書付留」を追加法とする法体系、(3)写本として巷間におびただしく伝わる伝本、(4)「御定書百箇条」という俗称、(5)「公事方御定書」編纂期に成立した幕府法律書などについてである。

本書は、これらの問題に光をあてて考察を加えている。書名を『江戸幕府法の基礎的研究』とした所以である。

 

本書の特色

1、「公事方御定書」編纂過程と増補修正過程を解明

第一次草案「元文三午年御帳」及び元文五年草案の内容を伝える伝本「公規矩之書」と「寛保律」収載の「公事方御定書並伺之上被仰渡候書付」上下を入手し、その翻刻・内容分析により編纂過程の前段が判明。(史料篇六・七、論考篇第三部第一・第二章) 増補修正は、寛保三年増修本と延享元年増修本の内容を伝える伝本、「公裁秘録」上下、「御当家律」を見出し両書を翻刻・検討し、五次にわたる増補修正の全容を解明。(論考篇第三部第三・四章、史料篇八・九)

 

2、「公事方御定書」上下巻構成は律令法が反映

上下巻構成は、律令法の令法典と律法典とで構成される考えが「公事方御定書」に反映されたとする。下巻の各条文には明律の規定に示唆を得て立法した法文を見出し、規定の改正、追加の手法についても「明律」とその追加改正法である「問刑条例」との関係に示唆を得たものであるとする。

(論考篇第四部第四章)

 

3、写本として伝わる伝本について従来の見解を正す

「公事方御定書」は、下巻のみ独立して書写され、これらはすべて宝暦四年の増補修正を被った伝本とされていたが、延享三年増修本も多く、御定書掛寺社奉行大岡忠相所持の幕府正本、延享三年増修本の存在を指摘し、従来の見解の誤りを実証した。(論考篇第四部第二章)

 

4、「御定書百箇条」は戦後に定着した俗称である

「公事方御定書」は特定の幕府首脳のみに交付された秘密法であり、高度に機密性の高い幕府法である。したがって、書写者は内密理に筆写し、各人が各様に表題を付けたのであり、多様な呼称が残された。「御定書百箇条」が「公事方御定書」下巻を指す呼称となったのは昭和二十年代以降であるとする。

(論考篇第四部第二章)

 

5、「公事方御定書」編纂期成立の「公事訴訟取捌」成立過程を解明

「公事訴訟取捌」は寛保二年(一七四二)四月、「公事方御定書」と同時に施行された幕府の制定法であり、民事紛争を裁く実体法と、刑事事案に対処するための法文との両者を備えた法典であることが判明した。この法典制定に先立つ元文二年(一七三七)、「評定所御定書」が成立し、将軍吉宗に提出され、吉宗の修正意見を得、増補修正したのが「公事訴訟取捌」である。「公事訴訟取捌」の成立過程を明確にするため、「評定書御定書」を含め、成立に至る各段階の伝本も翻刻紹介した。

(論考篇第二部第一章、史料篇一~四)

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