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近世小説の研究

――啓蒙的文芸の展開――

近世小説の研究

◎近世小説における啓蒙性に注目し、その生成過程と文芸世界への展開について考察する!

著者 湯浅 佳子
ジャンル 日本古典(文学)
日本古典(文学) > 近世文学
出版年月日 2017/02/20
ISBN 9784762936333
判型・ページ数 A5・664ページ
定価 18,700円(本体17,000円+税)
在庫 在庫あり
 

目次

序  論

第一部 仮名草子とその周辺

第一章 仮名草子と古典
 第一節 近世艶書文芸における『詞花懸露集』
 【資料編】『詞花懸露集』文例甲・乙の翻刻および文例の注釈
 第二節 『薄雲恋物語』考
 第三節 仮名草子『錦木』の性格
 【資料編】仮名草子『錦木』の和歌と出典一覧
 第四節 『安倍晴明物語』と中世の伝承

第二章 仮名草子と思想
 第一節 『他我身のうへ』の三教一致思想
 第二節 清水春流と護法書
 第三節 『うしかひ草』と「十牛図」「牧牛図」
 第四節 『伽婢子』の仏教説話的世界―教養としての儒仏思想の浸透―
 第五節 『先代旧事本紀大成経』における歴史叙述―聖徳太子関連記事を中心に―
 
第三章 仮名草子と怪異説話
 第一節 『曽呂里物語』二話―その怪異性について―
 第二節 『曽呂里物語』の類話
 第三節 怪異説話の展開―『曽呂里物語』と『宿直草』―
 第四節 『宿直草』の創意―巻四-十六「智ありても畜生はあさましき事」―

第四章 近世軍書の研究
 第一節 『鎌倉管領九代記』における歴史叙述の方法
 第二節 『鎌倉北条九代記』における歴史叙述の方法
 第三節 『鎌倉北条九代記』の背景―『吾妻鏡』『将軍記』等先行作品との関わり―
 第四節 『北条記』諸本考
 第五節 『北条盛衰記』の板木修訂―七巻本から八巻本へ―

第二部 説話考証随筆・談義本・読本の研究

第一章 『広益俗説弁』の研究
 第一節 『広益俗説弁』の性格
 第二節 『広益俗説弁』と周辺書―俗説の典拠類話と俗説批評の背景―
 第三節 金王丸と土佐坊昌俊―『広益俗説弁』巻十二より―

第二章 談義本・読本と思想
 第一節 増穂残口の神像説―『先代旧事本紀大成経』との関わりを中心に ―
 第二節 大江文坡の談義の方法―『成仙玉一口玄談』を中心に―  
 第三節 『南総里見八犬伝』と聖徳太子伝
 第四節 聖徳太子と瓢簞―『先代旧事本紀大成経』から『聖徳太子伝図会』へ ―
 第五節 読本『小野篁八十嶋かげ』における篁説話の展開
 
第三章 馬琴読本の世界
 第一節 『盆石皿山記』小考    
 第二節 『新累解脱物語』考―珠鶏の善を中心に―
 第三節 趣向と世界―演劇・草双紙から読本への影響―
 第四節 『三七全伝南柯夢』の楠譚
 第五節 『松浦佐用媛石魂録』における忠義と情愛
 第六節 『南総里見八犬伝』の犬と猫―『竹篦太郎』と口承伝承との関わり―
 第七節 『近世説美少年録』と阿蘇山伝説


初出一覧
あとがき
索  引

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内容説明

【序論より】(抜粋)

日本近世小説は、仮名草子・浮世草子・読本・草双紙・談義本・滑稽本・洒落本・人情本と、ジャンルが複雑に細分される。また、文芸性とともに啓蒙・教訓・娯楽・実用的要素が備わることも特徴で、中世物語や近現代小説とは異なる独自の様式と内容を有している。

本書は、近世小説の特徴の一つである啓蒙性について注目し、その性格と生成の背景、方法、変容と普遍性について考察したものである。

*                   *

本書では、近世小説に備わる教訓・報道・娯楽の三点を実用性として捉える中村幸彦の説を基本とし、そのうちの教訓と報道という啓蒙的性質に注目する。そして近世小説の周辺領域としての説話考証随筆をも視野に入れ、それら散文俗文芸における啓蒙性がどのように生成され展開していくのか、また文芸性をいかに獲得していったかについて考察する。

本書は二部構成で、第一部を近世小説の生成期として捉え、仮名草子と近世軍書について考察する。第二部は近世小説の展開期として談義本と読本について考察する。なお説話考証随筆『広益俗説弁』は小説ではないが、正徳から享保期の儒学者らによる説話考証の学風の上に成立した書としての意義を持ち、思想・内容の上で後代の近世小説に影響を与えた書として取り上げる。

第一部では、仮名草子・近世軍書における啓蒙性について、それらが中世文芸や記録、中国小説を素材とし、教訓や三教一致思想説を交えたり知識の集大成を行ったりすることで、情報性・教訓性・思想性が付加され、近世化が行われていることを述べる。また読み物としての内容構成が整えられることも明らかにする。

第二部では、説話考証随筆『広益俗説弁』、増穂残口・大江文坡の談義本・曲亭馬琴の読本等を取り上げ、素材や思想の拠り所を明らかにし、虚構世界の構築方法について考察する。

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