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汲古叢書142 明清都市商業史の研究  新刊

汲古叢書142 明清都市商業史の研究

◎「都市の経済」を照射した著者30年来の論考を集大成!!

著者 新宮 学
ジャンル 東洋史(アジア)
東洋史(アジア) > 明清
シリーズ 汲古叢書
出版年月日 2017/03/31
ISBN 9784762960413
判型・ページ数 A5・450ページ
定価 本体11,000円+税
在庫 在庫あり
 

目次

序 章
 
 第一部 首都と人口・物流

第1章 近世中国における首都北京の成立
    はじめに――首都としての北京
 1 東アジアの中の近世中国  
 2 中国における都の移動――東西移動から南北移動へ
 3 北京の成立――それぞれの遷都
〔海陵王の燕京遷都――官僚制的集権システムの受容/クビライの中都遷都――中華世界の拡大/永楽帝の北京遷都――拡大した中華世界の継承/順治帝の北京遷都――多民族複合国家の首都〕
 4 都城の改造――大都城から北京城へ〔向北から向南へ/中軸線の問題〕
 結びにかえて――東アジア世界の中心としての北京
 
第2章 明代の首都北京の都市人口について
 1 明代北京の都市人口に関する諸説
 2 都市空間と同時代人の認識〔都市空間/同時代人の認識〕
 3 順天府大興・宛平両県の戸口統計  
 4 五城兵馬司の保甲統計
 
第3章 通州・北京間の物流と在地社会――嘉靖年間の通恵河改修問題をてがかりに――
 1 嘉靖七年の通恵河改修工事について
〔改修工事の発端/改修工事の内容/剝船の運営方法/改修工事の意義〕
 2 通州・北京間の物流に関わる人々
〔漕運に関わる人々/陸運に関わる人々/剝運に関わる人々〕
 3 物流をめぐる市場と利害の調整
〔物流をめぐる市場と身分的特権者層/在地社会のさまざまな利害の調整〕
 
 第二部 鋪戸の役と同業組織
 
第4章 明代北京における鋪戸の役とその銀納化――都市商工業者の実態と把握をめぐって――
 1 鋪戸の役の諸特徴
 2 鋪戸の定期的調査の実施 
〔正統二年令/景泰六年の論議と成化十二年の実施/正徳四年の牌甲法〕
 3 鋪行銀の成立〔北京の鋪行銀/通州の鋪行銀〕
 4 商工業者の実態とその把握――下三則免徴の分析を通して
 
第5章 明末京師の商役優免問題について
 1 募商から僉商へ
 2 商役をめぐる弊害〔代価の支払いについて/宦官の搾取について〕
 3 優免特権と錦衣衛  
 4 宦官による優免決定権の掌握
 
第6章 明代南京における鋪戸の役とその改革――「行」をめぐる諸問題
 1 鋪戸の役の諸特徴  
 2 鋪戸の役をめぐる弊害と定期的資本調査〔代価の支払いをめぐって/定期的資本調査〕
 3 改革への動き〔銀納化の動き/鋪行の革去〕  
 4 鋪戸の役と行
 
第7章 明末清初期一地方都市における同業組織と公権力――蘇州府常熟県「當官」碑刻を素材に――
 1 分析の素材と視点  
 2 鋪戸の役と當官碑刻
 3 當官碑刻と同業組織
〔典當業/木商・竹行/雑貨業(油麻鋪・乾菓鋪・釘鉄煤鋪)/綢鋪・染鋪/製粉業/銀匠/轎行/梨園業/その他〕
 4 同業組織と外来商人  
 5 徽州商人の定着とその活動  
 6 結語

 第三部 牙行と商税

第8章 明代前期北京の官店塌房と商税
 1 明初の官店塌房〔設置意図/設置位置/運営と監督〕
 2 官店塌房と商税徴収官庁との関係〔収税則例/官店塌房における商税徴収〕
 3 身分的特権者による私有の進展〔官店塌房の賜与/客店塌房の私創〕
 
第9章 明代後半期江南諸都市の商税改革と門攤銀
 1 税課司局の廃止・合併傾向  
 2 商税銀納化をめぐる問題
 3 都市商税改革と門攤課税銀の成立〔蘇州・常州両府の改革/南直隷・浙江各府への普及〕
 4 門攤課鈔と門攤課税銀

第10章 明代の牙行について――商税との関係を中心に――
1 明初の牙行政策  
2 商税徴収請負の普及  
3 牙帖の頒給と納穀 
4 営業税としての牙税

 第四部 研究動向と書評・紹介

附篇1 1995年の歴史学界―回顧と展望―〈明・清〉
はじめに――地域社会論の現在
〔政治/在地社会の諸相/法制と裁判/財政システム/都市と流通/文化/対外関係/文献と索引〕
 
附篇2 明清社会経済史の新しい視点――顧誠教授の衛所研究をめぐって――
 1 明代の田土統計をめぐって
〔清水泰次の研究/藤井宏の研究/顧誠の研究/張徳信・林金樹の研究/曹樹基の研究/張海瀛の研究〕
2 地方管轄単位としての衛所
〔地方管轄単位としての衛所/衛所の四類型/軍戸と衛所/衛籍の形成/祖軍の原籍と衛籍/清朝の衛所改編〕
3 疆域管理体制の二大系統論が投げかける問題
〔明代の人口数/衛所の改編と耕地数増加との関係/官・民田比率/少数民族居住区の開発と漢族移住〕

附篇3 書評・紹介
 1 何炳棣著、寺田隆信・千種真一訳『科挙と近世中国社会――立身出世の階梯』
 2 北京市社会科学院・曹子西主編『北京通史』全10巻
 3 明代都城遺跡、中都の現況  
 4 呉仲撰『通恵河志』について
 5 劉石吉著『明清時代江南市鎮研究』
 
参考文献/あとがき/索引(事項・人名・地名)/英文目次

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内容説明

【序章より】(抜粋)

本書は、著者が1980年以来学術雑誌等に発表してきた明清時代の都市と商業に関する論考を収録した論文集である。戦後日本の明清社会経済史研究は、周知の如く農村社会や商人研究の分野ですでに多くの研究蓄積を有しているが、都市の商業や社会に焦点を当てた研究は意外に少ない。それに止まらず、現今では社会経済史自体への関心の退潮も著しい。これに対し、中国では80年代末「改革・対外開放」路線への転換後に高まった商業や都市社会についての関心は、現在も衰えることなく持続している。近年では、かつて農村社会研究一辺倒の中で著者が細々と取り組んだテーマを新たに進展させる論考が次々と発表されるようになった。こうした新たな研究成果の発表に後押しされ、あらためてこれまでの都市と商業に関わる諸論考を一書にまとめて公刊することにした次第である。本書への収録に際しては、極力初出時のままとして、最低限の表記の統一に留めた。ただ歳月の経過を考慮して、各章の末尾に〔補記〕を新たに加筆し、拙論発表以後の新たな研究の展開についての簡単な紹介を試みることにした。今後の研究深化の一助となれば幸いである。

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