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宋代史から考える

宋代史から考える

◎〝宋代からの視野〟で後代を俯瞰する――新たな東洋史研究のために!

著者 『宋代史から考える』編集委員會
ジャンル 東洋史(アジア)
東洋史(アジア) > 宋元
出版年月日 2016/07/25
ISBN 9784762965579
判型・ページ数 A5・480ページ
定価 13,200円(本体12,000円+税)
在庫 在庫あり
 

内容説明

【内容目次】

序文/凡例

第一部 北宋期と東アジア

  宋代開封における公共空間の形成

     ――宣德門・御街・御廊―― ……………………… 久保田 和男

  宋代比附箚記 ………………………………………… 川村   康

  家族史の構築:宋朝士人階層の精神的故郷

     ――相州韓琦の一族を例として―― …………… 游    彪

                                                             (河野峰生・小二田章 譯)

  北宋における武將の婚姻 …………………………… 尤  東 進

  宋代東アジア帝王生日小考 ………………………… 金  成 奎

                                                               (洪 性 珉 譯)

  士と吏の間――五代・遼・金の中央吏職 ………… 高井 康典行

第二部 南宋社會と宋元交替

  南宋衆分資産考  ……………………………………… 中 島 樂 章

   荊門軍の事例

     ――南宋湖北路の經濟の展開―― ……………… 樋 口 能 成

  顯隱相交

     ――宋末元初の陵陽牟氏と「玄妙觀重脩三門記」 小 林 隆 道

  『大元一統志』「沿革」にみる編纂過程

     ――平江路を中心に――  ………………………… 小二田   章

第三部 「宋代」のかなたに

  明代先塋碑の變遷 …………………………………… 飯 山 知 保

  永樂帝の大寧放棄をめぐる「言説」と「事實」

  ――長期的視點からみた明朝北邊政策研究の構築にむけて―― 

                                            ………………… 吉 野 正 史

  『御定宋史筌』「遼傳」から見た『宋史』改修の歴史的意義

    ――中國史書の編纂に見る朝鮮型中華主義

                                          ………………… 洪    性珉

  桑原隲藏『蒲壽庚の事蹟』出版經緯について

  ――上海東亞攻究會と京都帝國大學の東洋學者たち―― 

                                         …………………… 森田 健太郎

拙著『宋代中國科擧社會の研究』 訂補三項  ………… 近 藤 一 成

近藤學案――跋語に代えて――  …………………… 王   瑞  來

                                                             (村田 岳 譯)     

  執筆者紹介/外文要旨

【序文より】(抜粋)

  本書は「宋代中國」という時代・地域を、十~十七世紀に「中國」の内實や境域が複雜に變遷する中で、その歴史上にいかに位置づけるかを論ずる試みである。

 同樣の試みとしては、日本國内では二〇〇九年に刊行された『宋代史研究會研究報告第九集『宋代中國』の相對化』が擧げられ、またより早い時期の成果としては、Morris Rossabi,ed., China among Equals:TheMiddle Kingdom and Its Neighbors, 10th-14th Centuries.やPaul Jacov Smith and Richard von Glahn,The Song-Yuan-Ming Transition in Chinese History,Cambridge.が存在する。これらの先行する論集は、いずれも〝「宋代中國」をその鄰人たちや後代からの視點から考察する〟という問題設定を有し、収録する論考の大部分が遼・西夏・金・元といった、宋と併存した諸國家の社會・政治・文化と宋との外交關係、あるいは宋・元・明という脱斷代的な時間軸に主眼をおくものであった。その企圖はおおむね達成され、宋という國家と時代を、中國あるいは東アジアの歴史上に複眼的な視點から措定することに成功している。 本書の刊行意圖は、こうした研究に屋上屋を架すというものでは當然ない。むしろ、これまでの研究では意外なことにほぼ意識されてこなかった、〝宋代からの視野〟に基づき、宋代の文化や社會・政治制度といった事象が、その前後の歴史の流れの中でいかなる意義を有したのかを、「宋代中國」を中心として放射線状に考察することにある。ふりかえってみれば、上記の論考の著者の大部分は、實は「宋代中國」を研究對象としておらず、それらに對する宋代史研究者からの反應もほとんどなされていない。つまり、この三十年間に行われた「宋代中國」に關する議論では、宋代史研究とその他の時代史研究の間に、對話の實績が十分に蓄積されてきたわけではなかったのである。本書は、この問題に正面から取り組む。執筆者一覽にあるように、本書はまず宋代史研究の最前線にいる專門家が、脱斷代的な視點から、宋代 からその前後の時代を俯瞰する形でそれぞれの專門に關する議論を行う。そして、かかる議論をうけて、 その「宋代中國」的な問題關心が、前後の時代でいかに消化されるべきなのかを論じる。その結果は、上 記の先行研究に對する、宋代史研究からの明確な回答であり、またさらなる議論の土臺を提供することになるだろう。(『宋代史から考える』編集委員會 文責:久保田和男) 

 

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