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保元物語の成立

保元物語の成立

◎時代とともに変容し重層化するテクストの分析方法を提示し、人文学に新たな地平を拓く画期的論考!

著者 野中 哲照
ジャンル 日本古典(文学)
日本古典(文学) > 中古文学
日本古典(文学) > 中世文学
日本古典(文学) > 中世文学 > 軍記物語
日本史
日本史 > 古代
日本史 > 中世
出版年月日 2016/02/25
ISBN 9784762936302
判型・ページ数 A5・454ページ
定価 本体12,000円+税
在庫 在庫あり
 

内容説明

「本書は、『保元物語』が平安末期から鎌倉末期にかけて段階的に形成された具体相を明らかにするとともに、より普遍的な問題として、〈動態的重層構造〉としての物語観を提示するものである。」(「はしがき」より)

                 

本書は、『保元物語』の最古態本である半井本の内部分析を通して、その形成過程の具体相を初めて明らかにしたものである。

 文脈の矛盾や亀裂から〈異層認定〉を、逆に指向の通底から〈同層認定〉をそれぞれ行い、それらを丹念につむぎ合わせて、『保元物語』が重層的な構造体であることを明らかにする。一方で、物語の各パーツがそれぞれ平安末期~鎌倉末期のどの時期のものであるかという〈絶対編年〉の考え方を基軸として、それに物語の重層構造(古態層・後出層の別)という〈相対編年〉の考え方を絡めることによって、約一世紀半にわたって変容した『保元物語』の〈動態的重層構造〉を提示する。この成果が、巻末の折り込み図版1枚に集約されている。

 〈動態的重層構造〉としてのテクスト分析は、たとえば絵巻物におけるリメイク、民俗伝承における同類話・派生話、神仏習合史における思想変容、文献史料における多元性、物語における異本派生など、テクスト(対象)の変容や重層化に向き合わねばならないすべての人文系学問の新たな地平を拓くものである。

【内容目次】

はしがき/凡例

冒頭部の論

第一章 『保元物語』冒頭部における〈鳥羽院聖代〉の演出

     ―美福門院の機能をめぐって―

第二章 『保元物語』冒頭部の戦略―熊野託宣譚の意味―

第三章 『保元物語』における平安京聖域観の虚構

     ―その混乱と秩序回復をめぐって―

     

発端部の論

第四章 『保元物語』発端部にみる人物像の二層性

第五章 『保元物語』発端部にみる合戦要因の二層性

第六章 『保元物語』における批判精神

       

合戦部の論

第七章 『保元物語』合戦部の重層性

第八章 『保元物語』成立の基軸

     ―『保元顚末記』『保元合戦記』存在の可能性―

第九章 『保元物語』合戦部の形成―『為義物語』からの触発―

第十章 『保元物語』合戦部の後次層―『保元東西いくさばなし』の痕跡―

     

終息部の論

第十一章 『保元物語』終息部の二段階成立

第十二章 『保元物語』終息部における源氏末路譚の様相

第十三章 『保元物語』源氏末路譚の重層性とその形成過程

第十四章 『保元物語』統一感の演出方法

        

後日譚部の論

第十五章 『保元物語』後日譚部の表現構造

第十六章 『保元物語』後日譚部の成立意図

       ―鎌倉末期に「日本国」を相対化することの意味―

        

全体にかかわる論

第十七章 『保元物語』文保本にみる鎌倉末期の状況

第十八章 『保元物語』表現主体の位相とその変容

第十九章 『保元物語』形成論のための編年

第二十章 『保元物語』は史料として使えるか

       ―〈動態的重層構造〉提示の意義―

        

付録 言及一覧―章段名索引に代わるものとして― 

コラム1 『義経記』読解によって鍛えられる〈構造読み〉

コラム2 『源氏物語』読解によって鍛えられる〈行間読み〉

コラム3 『今鏡』読解によって鍛えられる〈裏面読み〉 

改稿の大要/初出一覧/あとがき/索引(史資料名・研究者名) 

図解 『保元物語』の動態的重層構造

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