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汲古叢書113 明代遼東と朝鮮

汲古叢書113 明代遼東と朝鮮

◎明代外交の実態を、遼東鎮の官制、互市の機能、対ジュシェン関係、対朝鮮関係から解明する

著者 荷見 守義
ジャンル 東洋史(アジア)
東洋史(アジア) > 明清
シリーズ 汲古叢書
出版年月日 2014/05/27
ISBN 9784762960123
判型・ページ数 A5
定価 13,200円(本体12,000円+税)
在庫 在庫あり
 

目次

序言――本書の意図と構成――
第Ⅰ部 明代遼東鎮の構造
第一章 明代遼東統治体制
一 遼東統治体制研究史
二 明初における遼東統治の展開
おわりに――遼東における山東布政分司と戸部山東清吏司
第二章 遼東巡按
一 『明実録』に見る遼東巡按   二 地方志に見る遼東巡按   
三 明朝檔案に見る巡按遼東
第三章 遼東守巡道
一 明代の守巡道と遼東      二 『明実録』の守巡道――洪武から正徳――
三 『明実録』の守巡道――嘉靖以降――
四 明朝檔案の遼東守巡道     五 分守遼海東寧道呈報文職官員陞遷名冊の分析
第四章 遼東馬市信牌檔考
一 遼東馬市と『明代遼東檔案匯編』所収の馬市檔案
二 『中国明朝檔案総匯』の遼東馬市檔案
三 『中国明朝檔案総匯』と『明代遼東檔案匯編』の遼東馬市檔案
四 遼東馬市檔案の構成
第五章 遼東馬市檔案考
一 明代遼東の馬市・互市場    二 『明代遼東檔案匯編』所収馬市関係檔案とその問題点
三 『明代遼東檔案匯編』馬市抽分税銀檔案の再構成
第六章 遼東抽銀考
一 遼東馬市徴税とその周辺    二 地方志における遼東馬市徴税記録とその問題点
三 遼東馬市取引品目       四 遼東馬市檔案の徴税額
第Ⅱ部 明代遼東と朝鮮・ジュシェン
  第一章 辺防と貿易
一 問題の焦点          二 朝鮮の牛馬進献とその価値
三 明朝賜与対価の行方と中・朝宗藩関係
四 明朝初期の北方展開と朝鮮
第二章 遼東と宗藩関係
一 馬匹進献及び明廷勅使接遇問題から見た中・朝宗藩関係の性格
二 土木の変時における朝鮮への情報伝達
三 中・朝宗藩関係下における遼東鎮の役割――助軍要求の検討から――
おわりに――北京・遼東・漢城をめぐる中・朝宗藩関係の様態――
第三章 咨文と勅書
一 明代中・朝関係と遼東鎮     二 明代中・朝関係と成化三年の役
三 成化三年の役前史        四 咨文と勅書――成化三年の役―― 
おわりに――成化三年をめぐる中・朝関係――
第四章 交隣政策
一 朝鮮世宗代までの交隣政策の展開 二 朝鮮王朝の明朝・北方情報獲得とその情報
三 朝鮮王朝の北辺防衛策の推移    
おわりに――明朝の出軍要求と朝鮮王朝の上表をめぐって――
第五章 世祖靖難
一 女直実態調査          
二 武官職・品級・等級分け――調査記録の官職――
おわりに―― 一四五五年四月の人名記録に見る中・朝関係――
第六章 女直授職
一 李思哲の女直調査とその目的   二 女直の表記と授官職
三 李思哲の女直調査と女直授官・昇降格記事
   四 女直授官職の構造とその変容
  結 言
  あとがき/索 引

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内容説明

【序言―本書の意図と構成】より(抜粋)

本書は明代遼東鎮に視座を置いて、明代中国の内外関係である宗藩関係・朝貢一元体制を朝鮮王朝との関係から解析し、いかに外交というものが構造的に辺疆防衛体制に組み込まれていたかについて解明することを意図したものである。

本書は二部構成になっており、第Ⅰ部 明代遼東鎮の構造では遼東鎮の支配構造の解明に取り組み、第一章 明代遼東統治体制においては、明朝が遼東を支配するに至った経緯を検討し、第二章 遼東巡按においては、遼東鎮統治に大きな役割を果たした巡按監察御史の山東との関係を検討し、第三章 遼東守巡道においては、巡按監察御史のもとで監察業務に当たった分守道・分巡道を検討した。第四章 遼東馬市信牌檔考においては、『中国明朝檔案総匯』『明代遼東檔案匯編』所収「遼東檔案」の分析上の問題点を、「遼東馬市信牌檔」に絞って明らかにし、第五章 遼東馬市檔案考においては、遼東互市の代表格である馬市のメカニズム解明の一歩として、馬市管理の帳簿である檔案の形式を明らかにし、第六章 遼東抽銀考においては、遼東互市における取引税を検討し、その銀納化について明らかにした。

第Ⅱ部 明代遼東と朝鮮・ジュシェン、第一章 辺防と貿易においては、明朝が朝鮮から厳しい収奪をしたと言われる永楽時代を中心に、朝貢は貿易なのか安全保障なのかを論じる。第二章 遼東と宗藩関係においては、土木の変期の中・朝関係から、遼東の両国関係に果たす役割と朝鮮の立場を論じる。第三章 咨文と勅書においては、成化三年(一四六七)のジュシェン出兵問題から、遼東の両国関係に果たす役割と朝鮮独自の行動を観察する。第四章 交隣政策においては、朝鮮王朝に視点をおいて、事大政策と交隣政策を使い分ける朝鮮の国家維持のバランスを検討する。第五章 世祖靖難においては、朝鮮第七代世祖による野人と朝鮮で呼ばれていたジュシェンの支配を通して、対明相対化政策の経緯に迫り、第六章 女直授職においてはその世祖の政策の構造を明らかにする。

  以上の二部を通して、明代遼東鎮を内部と外部とから観察し、中・朝宗藩関係が中・朝辺防とどのように構造的に結びつき、また、ジュシェンがどのように関係していたかの一端を明らかにすることを目指した。

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