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汲古叢書111 中華民国期江南地主制研究

汲古叢書111 中華民国期江南地主制研究

◎「地主制とは如何なる存在で、その経営はどのようなものであったのか」 一次史料を駆使し地主制の実態を解明する

著者 夏井 春喜
ジャンル 東洋史(アジア)
東洋史(アジア) > 近現代
シリーズ 汲古叢書
出版年月日 2014/02/10
ISBN 9784762960109
判型・ページ数 A5・640ページ
定価 17,600円(本体16,000円+税)
在庫 在庫あり
 

目次

序 章 文書史料と江南の地主制研究
  日本における文書史料について/租桟簿冊等からみる近代江南の地主経営/本書の構成
第一章 中華民国前期の地主団体
第一節 中華民国前期の租糧並収と追租局―蘇州市博物館の史料を中心に―
 辛亥革命時期の租糧並収と田業会/民国前期の追租局―民国五年・十五年の滸関の追租局の決算簿―
第二節 蘇州の田業会と商工業との関わり―呉県田業銀行・蘇州電気廠との関係について―
『呉県田業公会輔友部丙寅分徴信冊』からみる田業会の役員
田業会と呉県田業銀行・蘇州電気廠との関係―蘇州電気廠股份公司の股東名簿、董事名簿等から―
第二章 日中戦争期の田租徴収状況
第一節 日中全面戦争の勃発と日本軍の江南占領
第二節 清郷工作前の田租徴収状況 〔呉県(蘇州)/崑山/常熟/呉江/太倉/無錫〕
第三節 清郷工作後の田租徴収状況(1941年度)
第四節 地主の自主収租と追租局(1942~1943年度)
第五節 1944年度の田賦実物徴収と田租徴収
第三章 内戦期の田租徴収状況
第一節 日本敗戦後の田租徴収(1945年度)
第二節 田賦実物徴収と田租徴収状況(1946年度)
第三節 国民政府の戦局悪化と田租徴収(1947~1948年度)
第四節 内戦期における地主・佃戸関係の変化


第四章 呉江市档案館収蔵簿冊の分析
第一節 呉江県第二区釵金郷・東渓鎮・清水郷の「佃戸調査冊」
〔「佃戸調査冊」の概要/「佃戸調査冊」作成とそれより見える保甲の状況〕
第二節 「周愛蓮桟」関係簿冊の分析
周愛蓮桟簿冊の概要/日中戦争時期の田租徴収状況/内戦時期の田租徴収情況/呉江県における追租
について
索 引(解説・事項・人名・資料) 
あとがき                                 

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内容説明

 本書は、前著『中国近代江南の地主制研究』(2001年刊)より残る疑問を解決し、近代江南の地主制の 実態と変化を解明するものである。本書では、地主制の実態解明にあたり二つの方法を用いた。第一は、一次史料である租桟簿冊等の帳簿類、档案史料に基づく分析。第二に、地域格差が大きく史料の精粗に隔たりがあり、実証的データの少ない現状から、地域を江南、特に蘇州周辺に限定し考察した。更に、田業会(田業公会・田業会商処・田業改進会・田業聯誼会)という地主の同業団体と、前著では全く触れていない日中戦争期・内戦期の田租徴収問題に焦点をあて、より具体的に中国近代の地主制の実態に迫った。

著者はあとがきで次のように記している。「本書は序章で書いたように、2001年に公刊した『中国近代江南の地主制研究』の続編である。前書は1936年の日中戦争前夜で終わっており未完成のままであった。

本書の第二章以下において、日中戦争・国共内戦期の地主―佃戸問題を考察し、蘇州を中心とする一地域であるが、ようやく19世紀半ばの太平天国時期から約100年に亙る租桟という特異な組織を持つ地主制の実態と変化について、一定程度解明できたと思われる。これで多様性を持つ中国の地主制を説明できる訳ではないが、今後の研究の発展に寄与できればと考えている。」

本書は、膨大な史料を駆使して中国農村社会の実態と変化を解明した貴重な一冊である。

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