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明人とその文学

明人とその文学

「明人は、いかなる時に、いかなる自伝を記すか」―明代文学を鳥瞰する!

著者 松村 昂 編著
ジャンル 中国古典(文学) > 明清
出版年月日 2009/04/22
ISBN 9784762928635
判型・ページ数 A5・280ページ
定価 4,400円(本体4,000円+税)
在庫 在庫あり
 

内容説明

【あとがき】より

この論集を作る母体となったのは、「明人の自伝文を読む会」である。

この会は、そもそも松村昂先生の旧くからの研究仲間や受講生たちが

中心となって始まった。この会の名称にある「自伝文」とは、ひとこ

とでいうと、内容やスタイルを問わず、自分の人生について語った文

章のことである。この世を去る直前に書いた墓誌銘、老衰を感じて書

いた備忘録、行状的な記録、近親者への遺書、苦労話、自慢話、言

訳、ほとんど感情をまじえないメモなど、実にさまざまである。そこ

には明代の人々の理想と現実、希望と絶望、悔恨、愛惜があり、彼ら

の公と私の生活、公と私のことばがある。この会は、そのような詩文

を通じ、参加者が自由に意見を交換し、問題を共有する場となってき

た。そして松村先生の古希のお祝いを機に、メンバーが各々の研究テ

ーマで筆を執ろうということで、論集を作る準備が始まった。数人の

ゲストにも参加いただいて、いつもの会と同じように、互いの論考に

参考となる意見を出し合って成っている。

日本国内で、明代を対象にした研究状況を見てみると、歴史学や思想

哲学の分野では非常に旺盛に進められ、ほぼ毎年のように個人やグル

ープによる研究書が出版されている。しかし、文学を中心としたもの

は、白話小説や戯曲を扱ったもの以外は、まだまだ少ないのが実状で

ある。この論集は、メンバーの興味にのみ従い、明代という以外は制

約を置かなかったため、詩詞、文、小説などジャンルは多岐にわたり、

ジャンルを横断するものもあり、それぞれの目指した方向性も大きく

異なり、結果的に明代の文化の雑多さを再現したようなものになった。

そこに込めた小さな願いは、明代文学の魅力を少しでも示すことであ

り、明代文学の研究への小さな刺激となることである。わずかでもそ

れができるのであれば、これに勝る喜びはない。

(明人の自伝文を読む会 事務局 廣澤裕介)

【内容目次】

はじめに……………………………………………………………  松村 昂

 

明代女性古文家の登場…………………………… 曹  虹(大平幸代 訳)

 

明代における非古の文体と女性…………………………………… 野村鮎子 

 

沈周詩の表現について

――詞及び非伝統的表現の使用を中心に―― ……………… 和泉ひとみ

 

唐順之の生涯と文学論……………………………………………  田口一郎

 

万暦五年の情死事件についての一考察…………………………  上原徳子

 

袁宏道の詩「答李子髯」二首をめぐって………………………  松村 昂

 

明末の蘇州と揚州の物語

――短篇白話小説集『警世通言』から―― …………………  廣澤裕介

 

『龍會蘭池録』について

――もう一つの『拜月亭』―― ………………………………  大賀晶子

 

孫臏と龐涓の物語…………………………………………………  田村彩子

 

『平妖傳』成立考…………………………………………………  小松 謙

 

あとがき……………………………………………………………  廣澤裕介

 

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