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道家・道教の思想とその方術の研究

道家・道教の思想とその方術の研究

信仰者の立場から中国、日本道教を考察する。

著者 坂出祥伸
ジャンル 東洋史(アジア) > 殷周秦漢
東洋史(アジア) > 魏晋隋唐
出版年月日 2009/02/17
ISBN 9784762928529
判型・ページ数 A5・420ページ
定価 12,100円(本体11,000円+税)
在庫 品切れ・重版未定
 

内容説明

【序論】より 先ず、筆者は書名に掲げた「道家道教思想と方術の研究」という課題を、二つの視点で考察し論述していることを説明しておきたい。

第一の視点。従来の道家・道教研究の多くは、主として、その教理経典に視点を置いて考察されるのが一般的である。教理経典という面での研究は重要であり、大きな成果を挙げてきた。一般的に宗教にとっては、教理経典が主役であり、それなくしては宗教として成立しないのである。しかしながら、宗教には、宗教従事者と一般の信仰者という二つの立場があると考えられよう。宗教が人々を救済するのを主たる目的であるとするならば、救済する側とされる側と言い換えてもよかろう。私は後者の側から宗教をとらえる必要もあるのではないかと考える。道教に即していえば救済される信者の側から考察してみるとどうなるのか。教理経典は不要ではないにせよ、彼らには特に必要不可欠なものではなかったといえるのではなかろうか。そのような視点から本書所収の論考を書いている。

第二の視点。道家道教は「気」の宗教であり、「道」はすなわち「気」であるという視点から考察した。第一篇では「気」の宗教という視点から道家道教思想全体を論じ、特に第一章では、老荘哲学の「道」は「無」から、やがて「気」へと解釈されるようになることを解き、第二章、第三章では為政者の身体的修行が民に「感応」するという「気」の重要な属性をとりあげ、第四章では、道教は「道」であり、「気」であるから神像は否定されるはずなのに、仏像の影響を受けて製作される過程の論議を考察した。第五章は、「書道」という熟語が唐代に作られ、それは玄宗の老子崇拝、特に『道徳真経』の「道」の解釈に影響されていることを推論した。

 

【内容目次】 序 論・凡 例

第一篇 道家・道教の思想

第一章 老莊思想と「氣」

第二章 「治國」と「治身」への思想的道程―天人相感説と「氣」の

    修煉   

第三章 『老子河上公注』の身體觀

第四章 「氣」と道教神像の形成

第五章 「書道」と玄宗の老子崇拜

補 論 歐米における『老子』の理解

第二篇 道教的方術の諸相(一)―呪術醫療―

第一章 馬王堆漢墓出土「五十二病方」における呪術的醫療の一側面

―「禹歩」「唾」「噴」による治療の意味―

第二章 呪術醫療と太平道・五斗米道の成立

第三章 敦煌醫書の中の養生書―道教との関連で―

第四章 唐代の呪術醫療について―『千金翼方』禁經を中心に―

第五章 神々をイメージ(存思)する醫療―道教と靈性―

第三篇 道教的方術の相相(二)―占卜・呪言・呪符―

第一章 道教と占い

第二章 獸骨卜と甲骨卜の卜法

第三章 冥界の道教的神格―「急急如律令」をめぐって―

第四章 魏晉南北朝までの道教呪符の歴史

第四篇 密教と道教との交渉

第一章 初期密教と道教との交渉―呪言を中心として―

第二章 敦煌出土の密教呪符―道教からの影響―

第五篇 日本の養生法と醫療

第一章 日本における道教と養生法

第二章 『醫心方』養生篇の道教的性格

第三章 『醫心方』における醫療と道教―所引の『延壽赤書』『服石論』を中心に―

第四章 日本における導引の沿革 附・林正且、喜多村利且とその著述

第五章 岡倉天心の道教理解

附 篇 日本における中国哲学研究の学問的確立―小島祐馬を中心に―

あとがき・英タイトル・索引(人名・神名・鬼名/書名〈碑刻名を含む〉/事項〈地名・山名も含む〉)

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