ホーム > 汲古叢書106 金田から南京へ

汲古叢書106 金田から南京へ

汲古叢書106 金田から南京へ

◎従来の通説を批判的に再構築した画期的「太平天国史研究」なる

著者 菊池 秀明
ジャンル 東洋史(アジア)
東洋史(アジア) > 近現代
シリーズ 汲古叢書
出版年月日 2013/02/20
ISBN 9784762960055
判型・ページ数 A5・482ページ
定価 11,000円(本体10,000円+税)
在庫 在庫あり
 

目次

序 章 太平天国史研究をめぐる新動向と課題
太平天国史および中国社会史研究をめぐる新動向と課題/太平天国と歴史学――客家ナショナリズムの背景
第一部 広西における太平天国の蜂起 (一八四七年~五二年)
第一章 広西における上帝会の発展と金田団営
神々の相克――偶像破壊運動と天父天兄下凡/地上の胎動――武装蜂起の準備と金田団営
第二章 金田団営後期の太平天国について
上帝会の金田、江口における活動と武宣県進出/象州、金田における戦闘と官村の戦い
第三章 永安州時代の太平天国をめぐる一考察
太平軍の永安州占領と王朝体制の創建/永安州における包囲戦と太平軍の北上
第四章 広東凌十八蜂起とその影響について
凌十八の上帝会参加と蜂起の背景/大寮蜂起と凌十八軍の鬱林州攻撃
羅鏡墟における戦いと凌十八蜂起の失敗/結びにかえて――凌十八蜂起の影響
第二部 太平天国の南京進撃(一八五二年~五三年)
第五章 太平天国の広西北部、湖南南部における活動について
太平天国の桂林攻撃と地域社会の反応/全州城、蓑衣渡の戦いと太平軍の道州進出
第六章 太平天国の湖南における進撃と地域社会
湖南における反体制組織の活動と太平天国/太平天国の郴州進出と地域社会
第七章 太平天国の長沙攻撃をめぐる考察
太平軍の長沙急襲と蕭朝貴の戦死/長沙における攻防戦と太平軍の撤退
第八章 太平天国の武昌占領とその影響
太平軍の洞庭湖進出と岳州占領/太平軍の武昌攻撃と清軍
武昌攻防戦の推移と太平軍、清軍/武昌占領後の諸政策と清朝の反応
第九章 太平天国の長江進撃と南京攻略
太平軍の長江進撃と九江、安慶占領/太平軍の南京城攻撃と旗人虐殺
結 論
あとがき・索 引

このページのトップへ

内容説明

【まえがき】より

本書は中国近代史上の一大事件であった太平天国運動(一八五〇年~六四年)の初期史を、清朝の公文書であった档案史料を中心に明らかにするものである。すでに筆者は前著『広西移民社会と太平天国』において、運動発祥地の社会構造と蜂起の関係について現地で収集した族譜史料を中心に解明した。また『清代中国南部の社会変容と太平天国』では太平天国前夜の中国社会が清朝統治の行き詰まりの中で理想を欠いており、人々はキリスト教と復古主義的ユートピアを融合させた洪秀全の言説に希望を求めたことを明らかにした。

 本書はこれらの成果を踏まえ、上帝会の広西金田村での蜂起から太平天国の南京占領までの歴史を描くものである。中国、台湾およびイギリスで公開された新史料に加え、筆者が行ったフィールドワークの成果を踏まえて、従来の通説を批判的に再構築することをめざしている。また本書は洪秀全がキリスト教との出会いから何を学んだのかについて、十九世紀の福音主義運動がもたらした影響を中心に考察する。それは近代社会において宗教的情熱が果たした役割という問いを提起することになるだろう。

このページのトップへ