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汲古叢書105 清朝前期のチベット仏教政策

汲古叢書105 清朝前期のチベット仏教政策

同時代史料を駆使し、清朝仏教政策の推移を動態的に解き明かす

著者 池尻 陽子
ジャンル 東洋史(アジア)
東洋史(アジア) > 明清
中国思想・哲学
中国思想・哲学 > 明清
シリーズ 汲古叢書
出版年月日 2013/01/21
ISBN 9784762960048
判型・ページ数 A5・304ページ
定価 8,800円(本体8,000円+税)
在庫 在庫あり
 

目次

序 論
  Ⅰ本書の視座及び問題の所在 Ⅱ扎薩克喇嘛制度の概要 Ⅲ先行研究 Ⅳ史料 Ⅴ本研究の構成 地図
第一章 入関前~順治朝の清朝とチベット仏教僧――扎薩克喇嘛制度成立に至る経緯――
  第一節 太宗ホンタイジ時代のチベット仏教政策  
  第二節 アシャン=マンジュシュリとシレトゥ=フレーの成立
  第三節 パンディタ=ノモンハンの事績  第四節 扎薩克喇嘛制度の成立
 第二章 康煕朝の対青海・チベット政策と扎薩克喇嘛制度
  第一節 康煕朝前半期の清・モンゴル・チベット関係と扎薩克喇嘛制度
  第二節 康煕30年代の扎薩克喇嘛制度の危機とイラグクサン=ホトクトの処刑
  第三節 チャンキャ二世ガワン=ロサン=チューデンの登場
  第四節 康煕朝の扎薩克喇嘛制度における大国師
第三章 康煕朝末~雍正朝におけるチャンキャ体制の確立
  第一節 チャンキャの転生者認定までの経緯  第二節 清朝による青海平定とチャンキャ三世招請
  第三節 京師での処遇と大国師号の継承
第四章 乾隆朝のチベット仏教政策と扎薩克喇嘛制度の整備
  第一節 雍和宮(ガンデン=チンチャクリン)の開基
  第二節 京師・熱河の勅建寺とパンチェンラマ三世の来訪
 第三節 乾隆帝のチベット仏教政策と扎薩克喇嘛制度
 第五章 清朝の藩部統治政策における扎薩克喇嘛制度の役割
 第一節 各地の扎薩克喇嘛制度の特徴  第二節 扎薩克喇嘛制度における「喇嘛旗」について
  第三節 対チベット政策と扎薩克喇嘛制度
結 論
史料・参考文献一覧/あとがき/索 引 
図 表 一 覧
【表】ビリクトゥ=ナンソ=ラマの活動/チャガン=ラマの活動ほか9点
  【地図】扎薩克喇嘛制度関係諸地域/青海湖周辺のチベット仏教寺院

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内容説明

【序 論】より

本書は,清朝前期(本書では主に清朝建国から最盛期とされる乾隆期までとする)における「扎薩克喇嘛(ジャサク=ラマ)制度」の成立・展開の様相を分析することによって,清朝がいかにしてチベット仏教的世界観を共有する諸勢力と対峙していったのか,その具体的な手段と達成の度合いを提示するものである。そしてその作業を通して,清朝という多様で巨大な政権について,ひとつの実像を描出することを試みる。

第一章では,入関前~順治年間に清朝が行った様々なチベット仏教政策を取り上げ,扎薩克喇嘛制度設置 に結びつく具体的な事象を分析し,扎薩克喇嘛制度の淵源と成立に至る経緯を解明する。第二章では,康煕年間における扎薩克喇嘛制度の展開と,当該時期の清朝が行った青海・チベットに対する施策に扎薩克喇嘛制度が果たした役割を解明する。第三章では,雍正年間の清朝によるチャンキャ三世招請と彼に対する処遇について,そうせしめた当時の情勢に鑑みながら詳細に検討し,その意義を考察していく。第四章では,乾隆年間に実施されたチベット仏教政策を検討することで,乾隆帝が整備した扎薩克喇嘛制度の実態とその意図を解明する。第五章では,チベット仏教世界が順次藩部として組み込まれたのちに,各地域における統治政策に扎薩克喇嘛制度がどのように運用されたかを分析し,清朝の藩部統治政策における扎薩克喇嘛制度の多様なあり方を論じる。

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