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朝鮮漢字音研究

朝鮮漢字音研究

漢字音とアクセントの相関の詳細に及ぶ朝鮮漢字音研究の嚆矢、 待望の出版!

著者 伊藤智ゆき
ジャンル 中国語学・音韻 > 朝鮮
出版年月日 2007/10/25
ISBN 9784762928253
判型・ページ数 B5・600ページ
定価 本体14,000円+税
在庫 品切れ・重版未定
 

内容説明

【福井 玲 序より】
 伊藤智ゆきさんの 『朝鮮漢字音研究』 が上梓されることになったことを感謝します。 本書は東京大学大学院人文社会系研究科に提出された博士論文をもとにしており、 その完成直後から、 閲覧と出版物としての公刊を希望する研究者が国内外であとを絶ちませんでした。 先行研究として朝鮮語学の大先輩である河野六郎先生の代表作 『朝鮮漢字音の研究』 があり、 後発の研究としてはその結論や個々の論点において、 異なった見解を打ち出す必要があります。 伊藤さんと河野六郎先生の研究を比べて、 結論に違いをもたらした要因にはさまざまなものがありますが、 重要な点の1つは、 朝鮮漢字音の資料として河野六郎先生の時代には閲覧できなかった新しい資料が発見され利用されるようになっていた、 ということがあげられます。 こうした資料について伊藤さんは書誌学的に、 また異本が存在する場合はそれらの間での校合も含めて詳細な検討を行なった上で利用しています。 個々の問題に関する当否は今後も議論されなければなりませんが、 全体として伊藤さんの研究が従来の研究よりも一歩進んだ清新な研究であることは疑いの余地がありません。
【本書の特色】
 朝鮮語は、 中期朝鮮語末期以降に多くの変動が生じ、 その後アクセントの綿密な表記を失うため、 漢字音研究は中期朝鮮語に遡ることが望まれる。 しかし、 中期朝鮮語は (通常の漢字音研究の定石である) 韻書・漢字学習書といった、 検索に便宜のある資料に乏しく、 河野六郎・朴炳采の通史的研究にあっても、 ようやく中期朝鮮語末期 (16世紀末) の資料が利用されるだけである。 韻書・漢字学習書は、 その性質上、 各字の用例が一書に (原則として) 一回しか現れず、 誤刻などの影響を受けやすく、 安定したデータとなりにくい。 又、 アクセント表記を備えた中期朝鮮語資料を利用しないために、 朝鮮語アクセントの影響がほとんど無視され続けるなど、 漢字音史の根幹に関わる重要な視点のいくつかが欠ける結果となっていた。
 本書は、 徹底した用例主義を採り、 韻書に依存せずに中期朝鮮語の経典読誦音などから各字に複数の用例を得ることにより、 従来 「例外」 とされていたものが実は寧ろ大勢であること、 従来現象の説明に至らなかった現象が組織的に解けることなどを、 豊富な用例と共に示す点で、 朝鮮語史資料論としても新時代を拓くものである。 朝鮮語漢字音に特有の 「音節偏向」 (有気・無気対立のような対立軸が特定音節で中和し、 片方の音節しか現れない現象) に対するアクセントの関与を、 中期朝鮮語資料データベースによって本書が初めて明らかにし得たのは、 その一斑に過ぎず、 本書は、 今後の朝鮮漢字音、 ひいては漢語中古音・日本漢字音・越南漢字音の研究に、 必見の文献となるであろう。
 本書に付属する別冊資料篇 「漢字音表」 は、 現存する中期朝鮮語漢字音文献の五万余の漢字音用例すべてを、 原本に基づく厳密な異本校合を経て分韻整理したものであり、 中期から現代に至る朝鮮漢字音研究のみならず、 漢語中古音・日本・越南漢字音研究に必携の資料の一つを成すであろう。

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