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「八紘」とは何か

「八紘」とは何か

「八紘」とその関連語から見えてくる伝統経学の実相

著者 平勢隆郎
ジャンル 東洋史(アジア)
東洋史(アジア) > 殷周秦漢
中国思想・哲学
中国思想・哲学 > 先秦漢
出版年月日 2012/03/30
ISBN 9784762929816
判型・ページ数 A5・770ページ
定価 本体20,000円+税
在庫 在庫あり
 

目次


序 説 「封建」論・「八紘」論・「五服」論の要點
龜趺碑・龜趺塔の概要/「封建」論の要點/「八紘」論の要點/「五服」論の要點/龜趺碑と「八紘」/
「八紘宇たり」と「西宇」/韓昇の「井眞成墓誌」に關する新研究からわかること
第一章 「八紘」論と「五服」論
第一節 游侠の「儒」化とは何か――豪族石碑出現の背景――   
小領域・中領域・大領域――中領域の歴史的役割/「國」どうしの外交關係――中領域の交流/領域國家(中領域)の下の新秩序と領域國家間の外交/漢代史料と「侠」/任侠的秩序への信/公と私――中領域の位置づけ/匹夫の「侠」と游侠の轉向――宮崎市定の目線/中央の理論武裝/「正統」論と孔子――中央の目線/孔子異常風貌の出現/游侠をひきつけた精神世界――中央の目線と游侠世界の目線/游侠を迎え入れた場/富商大賈と游侠/公羊學と侠
第二節 南方の守神としての朱雀
關野貞の研究/「游侠」の出現/郡の設置と「侠」評價/『戰國策』と『史記』/漢代の「侠」と公・私/游侠の「儒」化/豪族石碑の氣になる性格/五徳終始説と帝王風貌異常説/孔子と傳説帝王の異常風貌説/四神説の推移と孔子/龍と朱雀と劉邦/龜趺碑・四神と龍
第三節 「三合」、十二方位による五行生成説と五徳終始説
曾侯乙墓出土遺物による知見/曾侯乙編鐘に示された「方位圓」の先驅/三合の應用/三合と對抗方位、そして音の生成/董仲舒の五徳終始説/三合導入の意味/戰國王朝の三正交替論/武帝以前の賢人時期化/その後の經緯と始皇帝
第四節 「五服」論の生成と展開
『尚書』孔傳の「五服」説/戰國以來の目安としての「方~里」/『戰國策』・『呂氏春秋』にみえる「冠帶」と「方~里」/『史記』の「方~里」/『漢書』の述べる「方~里」/『記』・『漢書』に見える五服/後時代の五服論と顧頡剛説/「五服」論の生成
第五節 『論語』の天下觀、『孟子』の天下觀、『禮記』の天下觀――「天下の正統」を理解するために――   
はじめに――天下の正統/傳説の帝王の歴史と夏殷三代の王朝/『論語』の天下/新石時代から青銅器時代へ、そして鐵器時代へ/天下と中國・夏
第二章 「八紘」論と「封建」論
第一節 中國戰國時代の國家領域と山林藪澤論
三つの領域を語る目――江戸時代の伊藤仁齋の中國夷狄觀/大きな「中國」と小さな「中國」/『孟子』等の記事/『孟子』にいう「中國」と『論語』の「九夷」の關係/『韓非子』顯學篇が述べる「事實」/東アジア册封體制と「中國」/宮崎市定の議論/『鹽鐵論』にいう國富の源――増淵龍夫の檢討/殷時代の山林藪澤――松丸雄の檢討/殷王の田獵地と西周の湯沐の邑、そして戰國諸王の占有/日本江戸時代、太田錦城の山林藪澤
第二節 上博楚簡『天子建州』と「封建」論
『孟子』萬章章句下等に見える「封建」論/『禮記』王制に見える「封建」論/『左傳』僖公二十四年に見える「封建」論/上博楚簡『天子建州』/「州」をめぐる問題――兼ねて『管子』度地の「封建」論を論ず
第三節 戰國時代の天下とその下の中國、夏等特別領域
廣域的漢字圈の成立/漢字圈の變容/新石時代以來の文化地域と天下/戰國時代の中國と夏(華夏)/殷時代の省・徳(征伐の靈力)/戰國時代の徳/統一帝國の下の「徳」/外交使節の役割/戰國時代の前代認識と領域認識/禹の治水をどう見るか
〈補〉 戰國期「封建」論、特別地域論、五服論と孔子――上博楚簡『天子建州』の成書國を檢討するために――
戰國時代の「中國」、「夏」等の範圍/戰國期の特別地域論、五服論と孔子
第三章 説話の時代
第一節 周初年代諸説
『史記』紀年矛盾の解消/殷代後期甲骨文事例と西周金文事例/殷末・周初の年代/『漢書』が述べる周初/『史記』が述べる周初/古文『尚書』に述べる周初
[別添]古代紀年と暦に關するチェックポイント
暦を檢討する前提
Ⅰ:二〇〇〇年このかた行われてきた論爭、今文・古文論爭/Ⅱ:暦法と天象の問題/Ⅲ:春秋戰國時代の紀年矛盾/Ⅳ:戰國~秦漢時代の暦日記事/Ⅴ:『春秋』所載の暦日記事/Ⅵ:『左傳』所載の木星紀年/Ⅶ:西周金文の暦日/Ⅷ:殷代後期甲骨文第五期の暦日/Ⅸ:その他
第二節 大國・小國の關係と漢字傳播
新石器時代以來の地域/春秋――都市國家の時代にして大國の時代/漢字の傳播/漢字資料の殘り具合/傳統的制度と觀念語/「一統」をめぐる戰國時代の共通理念と地域的、時代的多樣性
第三節 中國古代における説話(故事)の成立とその展開
『戰國策』の體例/身振りと文學/戰國時代における説話の發生/縣の設置、郡の發生と説話/編鐘の時代/『左傳』の文章構造/中華夷狄觀と漢代前期の状況/『左傳』と『史記』の先後/『公羊傳』の「くさし」の「形」/『左傳』・『穀梁傳』の「くさし」の「形」/上海博物館藏楚竹書に關する問題/『春秋事語』の説話
【別表】
1:平勢隆郎『左傳の史料批判的研究』/2:『史料批判研究』四號(二〇〇〇年)に一覽にしたもの/3:平勢隆郎『『春秋』と『左傳』』(中央公論新社、二〇〇三年)に論じたこと/4:平勢隆郎「王莽時期、木星位置に關する劉歆の復元とその關連問題」(『日本秦漢史學會會報』五號、二〇〇四年)に、標題の問題を論じた/5:平勢隆郎『中國の歴史2:都市國家から中華へ』(講談社、二〇〇五年)に論じたこと/6:『左傳』に見える諸語の用例〔「寡人」の用例/「寡君」の用例/「寡大夫」の用例/「君王」の用例/「執事」の用例/「不穀」の用例/「孤」の用例/「大上」の用例〕/7:『國語』に見える諸語の用例〔不穀/君王/寡君/大上/孤〕/8:『管子』に見える「寡君」の用例/9:『公羊傳』に見える諸語の用例〔寡君/寡人/君王/子/吾子〕/10:『梁傳』に見える諸語の用例〔寡君/君王/寡人/吾子〕
第四節 先秦兩漢の禮樂の變遷――孔子の時代の樂を知るために――
編鐘の考古學的檢討/曾侯乙墓出土編鐘からわかること/『禮記』からわかること/『左傳』と『國語』からわかること/『左傳』に垣間見える周王朝の衰微/『孟子』と『論語』からわかること/『孟子』に見える特異な見解/『左傳』が「樂」をどう紹介するか、その1・その2/『國語』に見える「樂」/『史記』・『漢書』にみえる樂論と風徳/春秋末の状況と孔子
結びにかえて
西周・春秋・戰國前期の天下觀/『孟子』の天下觀と徳概念/『左傳』に示される樂と風化/中國・夏等特別領域と夷狄/五服論の發生と九州説との統合/東アジア册封體制で議論されること/戰國的王化思想から漢代的王化思想へ/『史記』・『漢書』の記載と南越問題/戰國時代の外交文書の形式/王化思想が交錯する場と外交關係/「徳をもって仁を行う」「力をもって仁を假る」に關わる觀念語と諸書の編年、諸書材料の編年/天文觀と暦法の編年/戰國的王化思想のもう一つの「形」とその後裔/越の正統
と戰國楚/『孟子』の樂論、『荀子』の樂論、『禮記』の樂論/禮教主義のその後
あとがき
英文要旨・中文要旨・索  引 

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内容説明

【序より】(抜粋)

 學恩を感謝する諸先生の中でも、西嶋定生先生は特別である。

 西嶋先生の講義を通して、始皇帝統一を境に、封建の世から郡縣の世への變化が議論されることはわかったが、一方、すでに檢討しはじめていた『左傳』の述べる封建と異質な部分があることにも氣づいた。そしてその異質な部分に、多くの人々が氣づいていないし、自らも實は氣づいていなかったのだということがわかるのには、隨分と時間を要した。先生の講義を通して、黄老思想の影響下にあった前漢の中央が儒教を重視するにいたり、その儒教がさらに變化していくこと、そこに皇帝と儒教の關わりが議論されること、その儒教の經典を基礎とする禮教主義が册封體制を支えたことを學んだ。しかし、世の人々が西嶋册封體制論を論じる際に、なぜかこの禮教主義の議論が拔け落ちていることを自覺するのにも、そしてその儒教經典に在する問題性に氣づくのにも、隨分と時間を要した。こうした自覺にいたるまでの過程で、さらに多くのことを學び、試行錯誤をくりかえした。本書は、こうした試行錯誤の結果として世に送り出される。本書は中國について、大領域・中領域・小領域を論じる。中領域に注目する視點が、議論の要に据えられている。

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