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内藤湖南の国境領土論再考

二〇世紀初頭の清韓国境問題「間島問題」を通して

内藤湖南の国境領土論再考

湖南の日本外交に対する「貢献」を実証的に考察し、日本の間島政策・満州政策の変化、決定過程を明らかにする

著者 名和 悦子
ジャンル 東洋史(アジア)
東洋史(アジア) > 明清
東洋史(アジア) > 近現代
日本史
日本史 > 近世
日本史 > 近現代
出版年月日 2012/12/07
ISBN 9784762929861
判型・ページ数 A5・458ページ
定価 12,100円(本体11,000円+税)
在庫 在庫あり
 

目次

第一章 「間島問題」調査旅行
「間島問題」に関わった経緯/第一回調査旅行/第二回調査旅行/第三回調査旅行
  第二章 二つの『調査書』と『攷略』
比較表/参謀本部提出『調査書』/『攷略』/外務省提出『調査書』
  第三章 『私見』を通して見る湖南の国境領土論
「中井報告書」と斉藤季治郎「間嶌視察報告書」/宋教仁『間島問題』/『私見』
第四章 外務省に与えた影響と間島政策の方針転換
日本政府の初期の間島政策/対間島政策の方針転換/満州五案件の登場/日清交渉顛末
 史料集
  参謀本部提出 『間島問題調査書』
   明朝以前の境界沿革/清韓境界の交渉/ 豆満江沿岸地理の記載〔附松花、鴨緑兩江源〕/断案/附言
  外務省提出『間島問題調査書』
   康煕定界以前の境界 上 清朝以前  新羅渤海の境界/高麗女真の境界/朝鮮六鎮時代
   康煕定界以前の境界 下 清朝勃興期 間荒、即ち中立地帯の形成/境上の開市/越境の犯罪/
                   崇徳役後の状態
   康煕定界事件 定界の来由/定界始末/定界後の境上状態
   間島問題 上 日清戦争以前     間島問題 下 日清戦争以後
   地志の考證 間島の名称及ひ區域/豆滿江の源流(イ)四大源附疑似水源(ロ)茂山以東及ひ■雅河
本支流水域(ハ)穏城以下の豆滿江   境界線/間島問題調査書引用書目
外務省提出『清國來文ニ關スル鄙見』     外務省提出『間島問題私見』
略年譜・地図
   満州文盛京図(訳)(外務省提出『調査書』付図1)/満州文長白山図(同付図2)/中外一統輿図(同
付図3)/付図4不明/吉林通志 付図 琿春図(同付図5)付図6不明/韓国内部地図 第一(同付
図7)/韓国内部地図 第二(同付図8)/統監府派遣員製間島図(同付図9)/J.B.DUHALDE DESCRIPTION
DE LACHINE(同付図10)/金正浩 大東輿地図(同付図11)/陸軍参謀「間島境界調査材料(付図)」/
韓国駐箚参謀部「間島ニ関スル調査概要(付図)」/大阪朝日新聞加茂貞次郎作 間島(延吉廰)全図/
宋教仁『間島問題』付図/内藤湖南『私見』付図/篠田治策『白頭山定界碑』付図
資料出所一覧・参考資料及び文献・索引

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内容説明

【本書より】 本書は、内藤湖南研究として、湖南が二〇世紀初頭に生じた清韓国境領土問題、即ち「間島問題」を通し、国境や領土と言った近代的テーマにどのように向き合ったのか再考するものであるが、具体的には該問題にいかに関わったか、又外務省にどのような調査報告文書を提出し、文中でいかなる解決策を示したのか、こうした課題を明らかにすることで、湖南と「間島問題」との関係を総体として捉えることを目的としている。更にもう一つの目的として、湖南の一連の調査報告文書と前後の著作がどのように繋がっているのか、その連続性を明らかにすることで、湖南の歴史・文化・社会構造に対する独自の見解を考察し、『支那論』再考も試みてみたい。一方、日本外交史研究として、外務省が湖南の提出した種々な報告書、調査書、意見書を基に、間島と満州に関する条約交渉をどのように進めたか、その経緯を明らかにすることで、日露戦争後日本が対満州政策を進める上で何が問われたのか考察したい。両研究は一見して無関係のように見えるが、しかし両研究の基本的史料を読み合わせることで、湖南の日本外交政策に対する「貢献」の実態を、総体としてより明確に理解することが可能になると考える。

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